2019年4月27日土曜日

坂野尚子(fl)&塩川俊彦(gt) @JAZZ POLKADOTS

4月24日は、坂野尚子(fl)&塩川俊彦(gt) @JAZZ POLKADOTSを聴いてきました。


1曲目は、The Gentle Rain
塩川俊彦(gt) のギターの繊細なつま弾きから始まり、
坂野尚子(fl)の叙情的なフルートが聴かせます。
2曲目は、East Of The Sun (And West Of The Moon)
リズミカルなアクセントの効いた塩川俊彦(gt) のギターのイントロから軽快に開始し、坂野尚子(fl)のフルートが揺れるようにリズミカルなラインでわき出るフレーズを繰り出して行きます。


塩川俊彦(gt) の美しいコードワーク!!
3曲目は、Israel
ビル・エバンスの演奏で知られる名曲を塩川俊彦(gt) が選択。
アブストラクトなフルートとギターのサウンドがふっと収斂しておなじみのテーマを坂野尚子(fl)のフルートが叙情的に奏で、熱い展開のソロを聴かせます。
塩川俊彦(gt) のギターソロもコードワークに美しいシングルトーンが美事に決まります。


4曲目は、Quiet Now (Denny Zeitlin作曲)
塩川俊彦(gt) の和音が美しき響くイントロから、坂野尚子(fl)のフルートがじっくりバラードを歌い上げます。
塩川俊彦(gt) のメロディアスなソロも聴きものです。
5曲目は、Have You Met Miss Jones
塩川俊彦(gt) のリズミカルなコードワークでいかしたイントロが始まり、
坂野尚子(fl)のフルートが楽しげにはずむ豊かなラインのソロ!!
塩川俊彦(gt) のコードワークにオクターブも絡めたわくわくさせるようなソロ!!

2セット目
1曲目は、Bibi's Mood(Nicolo Stilo作曲)
塩川俊彦(gt) の低弦を聴かせた焦燥感をかき立てるようなかっこいいイントロ!
坂野尚子(fl)のフルートがクールにめくるめく展開のフレーズを奏でます。
2曲目は、Swingin` Shepherd Blues (Moe Koffman作曲)
いきなり坂野尚子(fl)のフルートがテーマから入り、美事なラインがつぎつぎに繰り出され,跳躍していきます。
塩川俊彦(gt) のブルージーなギターソロが圧倒的です。
3曲目は、Time Remembered (Bill Evans作曲)
坂野尚子(fl)のゆっくりしたテーマ開示から静に豊かに歌うフルート!
塩川俊彦(gt) の美しいサウンドのギターソロ!!
4曲目は、YOU MUST BELIEVE IN SPRING( Alan & Marilyn Bergman 作詞・Michel Legrand作曲)


坂野尚子(fl)がアルトフルートを取り出します。
深い響きのテーマを美しく歌い上げ、アルトフルートの深く美しい音色で、激しい感情を秘めて、しっとりとしたソロを歌い上げ、感慨深く聴かせます。


塩川俊彦(gt) の優しい響きのこぼれるようなギターソロ!!
5曲目は、I Mean You (Thelonious Monk作曲)
いきなり、強烈で鋭いモンクサウンドのテーマで開始し、坂野尚子(fl)の目まぐるしく上下降で躍動するラインのフルートソロ!
塩川俊彦(gt) のギターも躍動し、すさまじいコードワークを繰り広げます、
ここでの坂野尚子(fl)と塩川俊彦(gt) の丁々発止のインタープレイも聴きものでした。
アンコール
YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS (Gene de Paul / Don Raye)
フルートのインプロが空間に音を放ちどこに着地するのだろうかと思っていると、この名曲の美しいメロディーが浮かび上がります、しっとりと吹き始めるソロは熱く展開し凄絶ともいえる美をたたえていきます。
塩川俊彦(gt) のシングルトーンのギターが息を呑む美しさのソロを奏でます。



さらに、
Straight, No Chaser (Thelonious Monk作曲)

坂野尚子(fl)のフルートが、グルービーなテーマでいきなり開始し、自在にフレーズが跳躍していきます。
塩川俊彦(gt) のギターがリズムに乗ってエッジの効かせたコードワークにオクターブも交えた熱いソロで会場を沸かせます。
二人の相互に触発し反応し合う四小節交換も絶品です。
あっという間の2ステージでしたが、フルートとギターのデュエットとは思えないほど深い音楽の熱いステージを堪能しました。

2019年4月23日火曜日

植松孝夫(ts)の72歳誕生日記念ライブ@新宿ピットイン 濱田省吾(ds)高橋陸 (b)北島佳乃子(p) 中島朱葉(as)ゲスト、松島啓之(tp)

4月15日は、テナーの巨匠・植松孝夫(ts)の72歳誕生日記念ライブ@新宿ピットイン。
メンバーは
濱田省吾(ds)、高橋陸 (b)、北島佳乃子(p)、中島朱葉(as)
ゲストに名手・松島啓之(tp) でした。



植松孝夫(ts)を1970年代に初めて聴いた時、その太い音色で、独特のスタイルで吹きまくる姿に新しいテナー奏者を感じたのでしたが、その印象は現在まで全く変わりません。
最近は、素晴らしい若手のリズムセクションに囲まれています。
北島佳乃子(p)には音楽的なことを任せているとのことでした。

1曲目のBlack Nile (Wayne Shoter)から、第1セットラストのWork Song(ナット・アダレイ)まで、怒濤の熱い演奏!!
植松孝夫(ts)のテナーサックス、中島朱葉(as)のアルトサックス、松島啓之(tp)のトランペットの三管のハーモニーがかっこよくて嬉しくなる!!
植松孝夫の枯れることない太い音色の粋なテナー。
そこから溢れ出る独特なサウンドのフレーズの粋なこと!!
まさにワンアンドオンリーなテナーサックスサウンドを聴かせてくれます。

北島佳乃子(p)のしびれる展開のグルービーなピアノプレイ!
濱田省吾(ds)の小気味好いドラミング!

絶妙なタイミングでソロイストをかっこよく煽ります。
高橋陸 (b)の重厚で太い音色のウォーキングベース!
美しいフレーズでじっくり聴かせるベースソロ!
中島朱葉(as)のカッコイイフレーズが奔流のように流れ出るアルトプレイ!!
松島啓之(tp)の目前で聴いていましたが、
聴者の耳に突き刺さるような輝かしい音色で流麗に繰り出されるフレーズの圧巻のトランペットソロ!!
バラードのBody And Soul は、中島朱葉(as)が、最近よくステージで取り上げている曲目です。 
植松孝夫(ts)が抜けて、
中島朱葉(as)と松島啓之(tp)のフロントで奏でます。
北島佳乃子(p)の印象的なストーリーを聴かせるような美しいイントロから入り、
松島啓之(tp)の深い音色で、じっくりと大きなスケールで歌い上げるトランペットソロ!!
中島朱葉(as)のゆったりと歌い上げるアルトソロ。
太い音色のアルトで歌心あふれるフレーズを繊細に編み上げて行きます!!
北島佳乃子(p) のクリスタルタッチの美しいトーンで絶妙なメロディーを奏でるピアノソロ!
そして、中島朱葉(as)の絶唱のように吹ききる圧倒的なカデンツァの素晴らしさ!!
セット最後は、三管のハーモニーで聴かせる熱いサウンドのワークソング


幕間中は、いつも本でも読んでいるのですが、ステージのドラムあたりでいろいろ打ち合わせしているみたいでした。
目線はiPadのままで、なんか調整しているのかなと思っていました。
そして、第2セットが始まり、目線上げると、なんとドラムセットには
名手・奥平真吾(ds)の飛び入りがありました。
25年ぶりの共演だそうです。

1曲目は、Now's The Time
三管の熱いコーラスでテーマが開始され、
植松孝夫(ts)の極上のビバップソロ!!
殆ど楽器上の指が動いていないように見えるのに、スピード感あふれるフレーズがこれでもかというぐらいに展開して行きます!!
奥平真吾の緊張感あふれるスネアに空間を切り裂くシンバルの衝撃!
中島朱葉(as)のアルトソロは、じっくり始めて次第に熱をおびてきて、

怒濤の勢いで圧倒的展開のバップソロを見せつけます。
松島啓之(tp)のハイノートヒットもまじえて、軽々と繰り出す暖かくて強烈な推進力あふれるトランペットソロに目を見張ります。
北島佳乃子(p)の強いタッチで弾く小気味よいフレーズのビバップソロは目まぐるしく展開し、抜群のタイミングで繰り出す美しいブロックコードで決めまくります。 
バラードの酒とバラの日々
植松孝夫(ts)の深く味わい深いテナーソロ!!
ストレートな展開から、次第にビターな音色で、想定外の展開のフレーズが次々にあふれ出て、植松孝夫(ts)ワールドの味わいをしみじみと感じました。
奥平真吾(ds)の繊細なブラッシュワークは、ステージにスポットライトをあてるかのように、ソロイストのサウンドに寄り添い深く支えていきます。
北島佳乃子(p)のピアノソロは、美しいメロディーラインを紡ぎ出していきます。
右手のころころところがるシングルトーンは泣かせます!!
アンコールは、なんとMoanin'でした。
三管によるカッコイイテーマ吹奏から、
松島啓之(tp)の痺れるようなかっこいい展開の熱いトランペットソロ!!
中島朱葉(as)の目を見張るようなスピード感あふれる素晴らしいアルトソロ!! 
北島佳乃子(p)のブルージーでファンクな味わいが小気味よいピアノソロ!
植松孝夫(ts)のファットでビターなサウンドで粋なフレーズを繰り出すテナーソロ!
あっという間の2ステージでしたが、燃えたライブとなりました。
植松孝夫(ts)の変わることない味わい深い音楽に圧倒され、
素晴らしいメンバーの植松孝夫(ts)への熱い思いの詰まった演奏に感動した一夜となりました。

2019年4月12日金曜日

守谷美由貴(as)ベースレストリオwith 永武幹子(p)、今泉総之輔(ds)

4月11日は、守谷美由貴(as)ベースレストリオwith 永武幹子(p)、今泉総之輔(ds)を聴いてきました。

このユニットも回を重ねるごとに、深化し、ますますエキサイティングな演奏で驚かされます。
考えてみたらアルトのベースレストリオを新宿ピットインで聴くのは、山下洋輔トリオ以外であまりなかった。

本日のセットリスト
1. ミナのセカンドテーマ(山下洋輔)

2. 用心棒(佐藤勝)

3. むかしむかし(守谷 美由貴)

4. Tuck Box(守谷美由貴)
2セット
1. Second County(本田竹広)

2. M's Dilemma(守谷美由貴)

3. Everyday is a New Day(守谷美由貴)

4. キアズマ(山下洋輔)
アンコール Remember(Irving Berlin)




いきなり、1曲目は、ミナのセカンドテーマ(山下洋輔)で、守谷美由貴(as)のゆったりしたソプラノサックスのオープニングで開始し、
永武幹子(p)のピアノは深い響きを積み重ねるようなバッキング!
今泉総之輔(ds)のゆったりした大きなウエーブの繰り返しのようなドラミング!!
守谷美由貴(as)がしっとり深い音色でテーマを歌い、しだいにフレーズは激しく展開し驚速の音流がソプラノからほとばしります。
これに反応する永武幹子(p)の強烈なタッチで鍵盤上を目まぐるしく駆け抜けるピアノが凄い!
今泉総之輔(ds)のドラムが強力に,パルシブなパワーをバンドに送り込みます!!
三者全開のインタープレイ!!
永武幹子(p)のシンプルで小さなメロディーを奏でるピアノソロは、左手でキープするビターな味のメロディの繰り替えしにのって、
右手が美しい音色で跳躍し、強靱で熱をおびた怒濤のピアノサウンドを展開!!
今泉総之輔(ds)の小気味よいスネアの音色に空間を切り裂くシンバル!!
パワフルに叩き出す激しくパルシブなビート!!
そのまま、曲はテーマに戻り、ふっと、どこかなつかしい印象のリフのパターンをピアノとドラムが繰り出し、
守谷美由貴(as)のソプラノサックスが、用心棒のテーマを軽やかに吹いていきます。
ソプラノサックスが、リフパターンを引用しつつリズミカルにフレーズを展開し、次第に高速化し空間を飛翔し跳躍する圧巻のソロを繰り出します。
永武幹子(p)のピアノも太い音色でアーシーなパターンを繰り返しながら、あっという間に、その両手は鍵盤上を縦横無尽に駆け巡り目の覚めるようなフレーズを次々に繰り出します!!
3曲目は、守谷美由貴(as)のオリジナルのむかしむかし
永武幹子(p)の美しいピアノの印象的な響きのイントロから
守谷美由貴(as)のアルトが太く美しい音色でテーマをもの悲しいような表現で奏でます。
今泉総之輔(ds)のシンバルワークが美しく響きます。
守谷美由貴(as)のアルトはゆったりと深い呼吸で歌い、美しい旋律を綴り、しだいにスケール感の大きなソロ展開を繰り出します!美的完成度の高いアルトソロ!!
永武幹子(p)のピアノが遠くを夢見るようなメロディーが美しいタッチで奏でられます。
4曲目は、守谷美由貴(as)のアルバムCAT’S CRADLEから Tuck Box(守谷美由貴)
守谷美由貴(as)のアルトの疾走するテーマ演奏から、クールに決まるフレーズを次々に決めていくソロ!!
永武幹子(p)のピアノはテーマのリフレインから、しだいに熱く展開し、目を見張るような素晴らしい右手のフレーズ展開は、さらに両手が鍵盤上をダンサーのように飛翔し、スリリングな展開のソロを見せつけます。
永武幹子(p)のフルトーンで鳴りわたるピアノに美事に反応する今泉総之輔(ds)のドラミング!!
今泉総之輔(ds)の乾いた音色でのスネアの強靱な打撃!!切れ味鋭いドラミングが巨大なリズムのうねりを作り出していき怒濤のクライマックスを迎えます。



2セット目は、
Second County  本田竹広(p)作品
永武幹子(p)のピアノの大地を歩くかのようなダークな印象の左手のイントロで開始し、
守谷美由貴(as)の柔和で抜けのいい音色のソプラノサックスが、テーマを美しく歌い、じわじわと美しい旋律を築きあげていくかのように次々にフレーズを繰り出して行き、それはついには激しいサウンドの奔流のようにほとばしっていきます。
今泉総之輔(ds)の大きなうねりのよう表情豊かなドラミングが音楽を支えていきます。
怒濤の勢いのドラムと強靱なサウンドのソプラノサックスのからみに思わずうなります!!
永武幹子(p)のピアノから生み出されるドラマチックな旋律線の美しさ!
なつかしい雰囲気のフレーズがこれでもかと繰り出される激流のような展開のソロ!!圧巻の美をたたえる極上のピアニズム!!
2曲目は、守谷美由貴(as)のオリジナルで  M's Dilemma
永武幹子(p)と共演してインスパイアされて作曲したそうです。
永武幹子(p)のハードでリズミカルなテーマの開始、
守谷美由貴(as)のアルトがアブストラクトで幾何学的なテーマラインをストレートなアルトの音色で奏で、そのまま目を見張るテクニカルな展開のソロを繰り広げていきます。
永武幹子(p)の美事に早いパッセージが繰り広げられるソロ展開は息詰まる緊張感で高揚していきます。
今泉総之輔(ds)のドラムソロは巨大なパワーの波が寄せては返すかのように繰り広げられ、
すさまじい勢いのスネアショットに、はじけるシンバルが会場の空間を埋め尽くしていきます。
3曲目は、守谷美由貴(as)のオリジナルで Everyday is a New Day(守谷美由貴)
永武幹子(p)のゆったり歌うピアノのイントロから、
守谷美由貴(as)のじっくりしっとり歌うアルトが、美しいテーマを奏でます。
ここからストレートに突き進むアルトソロの息を呑むような圧倒的な展開!!
深い呼吸のソウルフルな歌で絶唱します。

永武幹子(p)のピアノがテーマのリフから美しい旋律で跳躍し、どこまでも飛んでいってしまうかのような呼吸の深いスケール感豊かな圧巻のソロ!!
4曲目は、キアズマ(山下洋輔)
今泉総之輔(ds)の強烈なパルスに反応し、
守谷美由貴(as)のアルトがテーマを開始し、そこから縦横無尽に繰り広げられる超速のパッセージの激烈なアルトソロが会場を切り裂いていきます!!
永武幹子(p)のはじけるピアノが怒濤の勢いでピアノをフルトーンで鳴らし、両手の超速の跳躍は何処までも続いていくかのように、聴くものにすさまじい熱量を送ります!!
今泉総之輔(ds)のドラムは、強力なスネアショットに光速で空間を切り裂くシンバルに、激しい心臓の鼓動のようなバスドラがフルパワーで疾走し奔流のようにバンドにビートを送り込みます。
三者全開のまま怒濤のクライマックスになだれこみました!!
聴衆の歓呼の声に応えて、アンコールは、
Remember(Irving Berlin)
守谷美由貴(as)のしっとり美しい音色のアルトが流麗に歌い上げます。
永武幹子(p)のシンプルで美しいラインのピアノソロが息を呑むほど美しく響きます。
今泉総之輔(ds)の繊細なブラッシュワークの美事さ!!

あっという間の2ステージでしたが、守谷美由貴(as)、永武幹子(p)、今泉総之輔(ds)と現在シーンで引っ張りだこの三人がそれぞれの個性の発展をまた見せつけてくれるライブとなりました。
守谷美由貴(as)のオリジナルあり、山下洋輔(p)トリオの名作あり、本田竹広(p)の名作ありとバラエティー豊かな構成で、強力ユニットの魅力を堪能し尽くしました。

このユニットの次回のライブは、6月11日(火)だそうです。

その前に、5月4日新宿ピットインで
本田珠也(Ds)守谷美由貴(Sax)須川崇志(B)+永武幹子(P)山田丈造(Tp)
という絶対的に息のあったユニットの楽しみなライブが予定されています!!

2019年4月7日日曜日

北島佳乃子(pf)デュオwith 金森もとい(b)@小川町リディアン

4月5日は、小川町リディアンで北島佳乃子(pf)デュオwith 金森もとい(b) を聴いてきました。


小川町リディアンは初めてお邪魔しました。開店時から気になっていたのですが、スケジュールの巡り合わせがうまくいかなくて。
ようやく、北島佳乃子(p)のライブというベストのタイミングで伺いました。とてもいいお店でした。時間帯もサラリーマンに優しいし。


北島佳乃子(p)は、初めて聴いた時に、私の愛する「いわゆるひとつのハードバップライク(^_^;」で、味わい深く演奏する素晴らしいピアニストとして驚いたのでした。
多分そこで留まるようなひとではないのですが。
さらに、美しいシングルトーンで切れ味鋭くカッコイイフレーズを繰り出しながら、小気味いいリフやトリルを織り交ぜたり、
軽快なブロックコードをびしびし決め、
粋な左手のアクセントを素晴らしいタイミングで決めたりと、
ベテランピアニストでもかくやとおもわれる多種多様な必殺技に驚きました。
とても若手とは思えない粋なセンスです。
そんな北島佳乃子(p)の真価をデュオwith 金森もとい(b) で聴きたいと駆けつけたのでした。


1曲目は、 Sippin' At Bells マイルス・デイビスの作品とされているようです。パーカーという話も。
SONNY CLARKの凄絶な演奏で有名です。ちなみにベルズウイスキーをちびちびという意味ですかね。
冒頭から北島佳乃子(p)の紛れもないハードバップソロが美事にグルーブして展開して行きます。
金森もとい(b)の美しい音色のビートの効いたベースソロ!



2曲目が、北島佳乃子(p)のオリジナル曲で、
Sometimes I Feel
ロマンチックなイントロから、ストレートで美しいバップライクなテーマが開示され、ハードバップが舞い降りたかのようなめざましい展開のソロ!!
輝かしいシングルトーンがころころ鍵盤上を舞い踊ります。ここで印象的な左手のアクセントを小粋に決め、そのまま、目を見張るブロックコードの圧倒的な展開!
金森もとい(b)のリズミックに決まるベースソロ!
3曲目は、On Green Dolphin Street
印象的な左手のトーンを響かせて、それがいつの間にか
おなじみの美しいテーマに移行して行きます。
リズミックな展開で、アーシーな雰囲気漂う粋なソロ!!
カッコイイフレーズがびしびし決まっていきます。



金森もとい(b)の太い音色のソロはヒートアップして圧倒的な超速展開を見せます!!
4曲目は、バラードで
My Ship クルト・ワイル作品
サティー風なイントロで金森もとい(b)のアルコの美しい響き



北島佳乃子(p)が美しい静謐なテーマをしっとり歌います。
北島佳乃子(p)がクリアなトーンでじっくり歌い上げます。美しいフレーズ展開に、トリルを小粋に混ぜて、さらには飛翔するブロックコードによる圧巻のフレージング!
5曲目は、What is this thing called love コール・ポーター作品
北島佳乃子(p)は、小粋なイントロから入りおなじみのテーマを歌います。
美しいシングルトーンがグルービーなフレーズを次々に繰り出します。
ここでも小気味よいブロックコードの名人芸を繰り出してきます!!
あいだにちょっと挟む小粋なリフの洒脱さ!!
金森もとい(b)のグルーブ感溢れるベースソロ!!
2セット
1曲目 Estate (Bruno Martino作品)
北島佳乃子(p)は、ロマンチックなイントロから開始し美しいテーマを歌い上げ、
硬質なリリシズムをたたえたソロを繰り広げます。
美しい旋律を紡ぎ出していき、きらめくオクターブのアクセント!!



金森もとい(b)の味わい深い慈しむようなベースソロ!
2曲目は、北島佳乃子(p)のオリジナル曲で
エロールズ・ドリーム
偉大な個性派ピアニストのエロール・ガーナーにインスパイアされたそうです。
北島佳乃子(p)の粋なセンスの源流の一つはそれかと思いました。話の中でレッド・ガーランドがでたり、ソニー・クラークを取り上げたりと、あの粋な必殺技はここらの影響もあるのかも。私の敬愛するピアノスタイリスト達を聴いてくれているのがうれしい。
曲は、北島佳乃子(p)のいきなりのバックビートの効いた小粋なテーマで開始し、かっこよく跳躍する右手から繰り出されるシングルトーンの味わい深い旋律に、ブロックコードの格好良さが決まりまくります。



金森もとい(b)のじっくりと力強く歌う名技ソロ!
3曲目は、Up Jumped Spring
小粋なイントロからおなじみのテーマが可憐に弾かれ、
ベースが美しいテーマ旋律を弾き
北島佳乃子が味わい深い美しいフレーズを次々に繰り出して行きます。
金森もとい(b)の切れ味鋭いベースソロ!
4曲目は、やはり季節の曲で
Spring can really hang you up the most
金森もとい(b)のアルコベースの美しい旋律から入り、
北島佳乃子(p)のピアノがテーマを震わせていき、春の暖かい日差しのような柔らかいフレーズのソロを繰り広げます。



5曲目は、Hallucinations   
Bud Powellの名演で有名です。
北島佳乃子(p)のいきなりのビバップ開始!!
炸裂するビバップフレーズが圧巻です。
オクターブを交えて、さらに鍵盤を駆け巡る、めくるめくフレーズの連続のバップソロ!!
左手の粋なアクセントと右手のコントラストが粋です。
金森もとい(b)の超速でありながら緻密な旋律があふれるベースソロ!!



聴衆のやんやの声に応えてアンコール!!
If You Could See Me Now
北島佳乃子(p)の華麗でダイナミックなイントロから入り、
おなじみの美しいテーマに移行し、
美しいトーンでじっくり、しっとり歌い上げて行きます。
金森もとい(b)の太い音色で美しく歌い上げるベースソロが圧巻です。



あっという間の2ステージでしたが、北島佳乃子(p)の素晴らしいピアノと金森もとい(b)の超絶ベースプレイ。二人の息のあった演奏を満喫した一夜となりました。
また、この二人を是非聴きたいと思いながら帰り道を歩きました。

2019年4月3日水曜日

小島のり子(fl)&デュオwith 清水絵里子(p)@池袋P’S BAR

4月2日は、小島のり子(fl)&デュオwith 清水絵里子(p)@池袋P’S BAR を聴いてきました。


久しぶりの名手二人のデュエット再演です。
1曲目は、I Hear A Rhapsody
軽快な小島のり子(fl)のフルートでテーマを開始し、
清水絵里子(p)のバッキングも小気味よく
小島のり子(fl)のフルートソロはヒートアップしていきます。
清水絵里子(p)のピアノソロがじっくり歌い上げ、魅力的なコードワークに、右手のきらめきが印象的です。



2曲目は、小島のり子(fl)のオリジナルで、The Shade Of Wisteria/藤のかげ
芭蕉にちなんだ俳句の連歌の会での演奏にインスパイアされた曲だそうです。
ゆったりしたリズムのイントロで開始し、
小島のり子(fl)のフルートがじっくり叙情的なテーマを歌い、寂寥感さえただようソロを展開します。
清水絵里子(p)の叙情的なピアノソロ!
3曲目は、You Must Believe In Spring
清水絵里子(p)の新作CD「Doube axes」にも勿論収録されています。
清水絵里子(p)はステージで、この名曲を取り上げてくれるので、この曲を大好きな私はいつも嬉しい。
清水絵里子(p)の美しいイントロから開始し、深い呼吸のメロディーがリリカルに奏でられ、
小島のり子(fl)の美しいテーマ開始から、
しっとりと透明感溢れるサウンドで歌い上げ、冬に耐え、春を信じる歌をしなやかに奏で、次第にソロは深まり息を呑む展開となります。



清水絵里子(p)のピアノソロは、テーマを幅広い展開のフレーズで歌い上げ、
エリッチョ独特の流麗なラインを繰り広げ、ふとひっそりと歌ってみて、
思わず息を呑むと、その瞬間またピアノが高まり圧巻のダイナミックな展開のソロ!!




4曲目は、春つながりで、Spring Can Really Hang You Up The Most
小島のり子(fl)が太い音色でゆったり、めくるめくバラードを歌い上げます。
清水絵里子(p)のバッキングもひそやかなつぶやきのように弾いていきます。
清水絵里子(p)のピアノソロは粒立ちの良いピアノが囁くように歌い、しだいにブルージーな表情を見せて、美しいフレーズを繋いでいきます。
小島のり子(fl)のフルートソロでは、目を見張るアルペジオを展開し、思わず唸ってしまう練達のソロ!!
5曲目は、Without A Song
小島のり子(fl)がいきなりリズミカルにテーマを開始し、ストレートなハードバップ的展開のカッコイイソロを繰り出します。
清水絵里子(p)のグルービーなバッキング!!
清水絵里子(p)のピアノソロもカッコイイフレーズをこれでもかと繰り出す美事さ!!

2セット
1曲目は、I'll remember april
清水絵里子(p)がステージに上がってピアノに向かっていきなり、印象派風のサウンドを奏で、それがおなじみのテーマに美事に移行し
小島のり子(fl)のフルートが熱くテーマをフルートで展開し、
ストレートなジャズそのものといった感のあるフレーズを繰り広げます。
バックの清水絵里子(p)との互いに触発し合う絡みが聴きものです。


清水絵里子(p)のピアノソロでは、これぞエリッチョのバップ解釈という感じで鍵盤を縦横無尽にフレーズが駆け抜ける凄絶なソロ!!
四小節交換では、小島のり子(fl)と清水絵里子(p)の激しく反応しあう火を噴くようなソロの応酬!!
2曲目は、Tenderly
小島のり子(fl)のフルートが柔らかい音色でバラードをじっくり歌い上げ、息づまる美しさのソロをフルトーンで奏でます。
清水絵里子(p)のピアノソロは、魂を震わせるようにじっくりとソウルフルに歌い上げます。
3曲目は、Parisian Thoroughfare
この曲も清水絵里子(p)の新作CD「Doube axes」にも勿論収録されています。
バド・パウエルの凄絶な演奏で知られるビバップナンバーです。
小島のり子(fl)がこの難曲をいきなりフルートでアップテンポで開始し、
ここから手に汗握るダイナミックなビバップソロを驚くべき超絶ソロで繰り広げていきます。
清水絵里子(p)のピアノソロは意表を突く音使いで開始し、美しいフレーズを奏でると、そこから超速のビバップソロを繰り広げ鍵盤上を自由自在に駆け巡る圧巻のソロ!!
清水絵里子(p)のビバップ解釈の粋を見せつけられました。
四小節交換では、小島のり子(fl)と清水絵里子(p)の丁々発止の意表を突くフレーズの応酬!!


4曲目は、アントニオ・カルロス・ジョビンのCaminhos Cruzados
清水絵里子(p)の可憐なイントロで開始し、
小島のり子(fl)のフルートが美しいテーマを歌い上げ、ゆるゆるとたゆたうようなソロを聴かせます。
清水絵里子(p)のピアノソロは、透明感あふれる音色で叙情的なソロをしっくり弾いていきます。


当夜のラストナンバーは、In Walked Bud
小島のり子(fl)のフルートがモンクナンバーを鮮やかに歌い上げ、
次第に呼吸が深まり、フルートが飛翔し跳躍していきます!!
清水絵里子(p)のピアノソロが、グルーブ感溢れる展開で、リズミカルにリフが繰り返され、そこから予想外の音域に展開し、カッコイイフレーズが次々に繰り出してくる圧倒的なソロ!
素晴らしいモンク解釈に目を見張りました。
四小節交換では、これまた息を呑む展開の熱いフレーズの応酬を繰り広げ、怒濤のエンディングを迎えました。


あっというまの2ステージでしたが、小島のり子(fl)と清水絵里子(p)の洗練の極致の息を呑む美しさと
フルートとピアノのデュエットとは到底思えない、熱く時にパワフルな素晴らしい演奏に圧倒された一夜となりました。