2017年3月27日月曜日

ホーレンシュタイン賛その2

ホーレンシュタインのマーラーで、正式発売されていないのは、2曲でした。
第2番と、第5番です。







このうち、第5番は、1961年のイギリス、エジンバラフェスティバルで、ベルリンフィルとの演奏が有名でした。ラファエル・クーベリック指揮の予定がキャンセルで急遽、ホーレンシュタインが指揮したもの。こちらの放送録音が遂に発表されました。音質は、かなり厳しいものですが。
この演奏は壮大なスケールと深い思索のホーレンシュタインらしい凄いものです。
こちらからインターネットで、購入可能です。
https://www.pristineclassical.com/products/pasc416

第2番は、放送録音とかがありそうですが、いまだに、見つからないようです。

この他ステレオ録音では、チャイコフスキーの第5番、第6番悲壮
ドボルザーク第9番
ブラームスの第1番、第2番、第3番などがあります。

さらに、最近、フランス国立放送管弦楽団との放送録音がボックスセットで発売されました。


内容は
ホーレンシュタイン、パリの放送録音1952-1966」 【CD1】1ラヴェル:ピアノ協奏曲/2ベートーヴェン:交響曲第7番/ 3ルーセル:蜘蛛の饗宴 【CD2】1バルトーク:管弦楽のための協奏曲/2ベートーヴェン:交響曲第8番 【CD3】1シベリウス:交響曲第2番/2ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」 【CD4】1ドビュッシー:海/2ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲/3R.シュトラウス:死と変容 【CD5】1ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」/2モーツァルツト:「ドン・ジョヴァンニ」序曲 【CD6】1メンデルスゾーン:交響曲第4番/2ブラームス:交響曲第1番 【CD7】1ベートーヴェン:交響曲第1番/2マーラー:亡き子を偲ぶ歌/3R.シュトラウス:変容 【CD8】1ベートーヴェン:「エグモント」序曲/2ラヴェル:ボレロ/3ヤナーチェク:シンフォニエッタ/4ハイドン:交響曲第100番 【CD9】1ブラームス:悲劇的序曲/2バーバー:ヴァイオリン協奏曲/3プロコフィエフ:交響曲第5番

きわめて、貴重な録音集です。

https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%81%E3%83%91%E3%83%AA%E3%81%AE%E6%94%BE%E9%80%81%E9%8C%B2%E9%9F%B31952-1966%E3%80%8D-%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF/dp/B0002K6ZL6





VOX時代には、バッハからストラビンスキーまで多くのレパートリーを録音しています。
ブランデンブルグ協奏曲ではオリジナル楽器の一部採用の最初期のものとして歴史的に貴重なものです。演奏はロマン的でも学究的でもない、現代に通じるエレガントな仕上がりになっています。
https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dpopular&field-keywords=horenstein+vox&rh=n%3A561956%2Ck%3Ahorenstein+vox

ここで、ファンにとっての朗報があります。


タワーレコードからの予告では、

ヤッシャ・ホーレンシュタイン・コレクション1928-1964(43枚組)

 

 

上述の VOX録音とフランス国立放送管弦楽団との放送録音などが網羅されたセットが発売日が2017年4月30日と予告されました。

〜〜このBOXには、彼のキャリア最初期の1928年録音のマーラー“亡き子をしのぶ歌”、1929年録音のブルックナー交響曲第7番に始まり、1950年代の米VOXへの大量のスタジオ録音、1950~60年代のライヴ録音などが幅広く収められています。また2015年にスクリベンダムが発売した彼の英ユニコーン社への録音集(5枚組)と録音の被りが無いのも嬉しいところです。この二組を持てば、ホーレンシュタインの録音遺産をほぼカヴァーすることができます。彼のファンの方、20世紀のオーケストラ演奏史にご興味をお持ちの方におすすめいたします。
(タワーレコード)〜〜

http://tower.jp/article/feature_item/2017/03/10/1108 


これにユニコーン原盤の全録音集のThe Art of Jascha Horenstein

 

http://tower.jp/item/3871036/The-Art-of-Jascha-Horenstein

を揃えると、BBCライブ録音以外の音源はほぼそろうことになります。

私たちが、あちこちの店頭やインターネットで必死に探した録音が、簡単に入手できるようになりました。
ようやく、ヤッシャ・ホーレンシュタイン の芸術の真価が正しく評価される時代が来ることを祈ってやみません。
あとは、マーラーの第2番の発見だけだ!!

2017年3月12日日曜日

ヤッシャ・ホーレンシュタイン賛

最も過小評価されてきた巨匠、ヤッシャ・ホーレンシュタインについて
先日久しぶりに、Mahlerの交響曲第1番を聴きたくて、ホーレンシュタインのマーラー交響曲第1番L.S.Oをかけました。



初めてマーラーの交響曲第1番を買ったのは、エンジェル盤でパウル・クレツキー指揮のものだったような気がします。
そのジャケットのライナーノーツには、マーラーは日曜作曲家で指揮者の余技のとあり、明らかに、モーツァルトやベートーベンなどと同等の大作曲家とは見なされていませんでした。
それから40年以上時間が経ち、ブルックナーとマーラーはひょっとしたら、モーツァルトやベートーベンよりもしばしば演奏され、録音される時代となったようです。
これまで、クレツキー、ワルター、クレンペラー、バーンスタイン、クーべリック、ショルティ、ハイティンク、アッバード、マゼール、テンシュタット、ドホナーニ、etcを聴き続けて、何と無くマーラーがわかったような気になっていました。
しかし、ヤッシャ・ホーレンシュタインの演奏は、そんな思いを吹き飛ばしてくれます。
じっくりとしながら生き生きしたテンポ。
これまで聴き飛ばしていた各楽器の音達の全てに深い意味づけがなされて、
各モチーフやリズムが、かつて聴いたことがない響きを持ちます。
そして、激しいダイナミックスと鮮烈なカタスタロフィー。
何度聴いても、マーラーの交響曲第1番でこれ程感動することはありません。
マーラーは交響曲第1番に全てを持ち込み、ここから空前の交響曲作家となりました。
第1番は単なる出発点ではなく、マーラーの彼岸の先まで見通せるような作品だとホーレンシュタインに教えられます。
ホーレンシュタインのマーラーは、モノラルLP時代から既に欧州ではスペシャリストとして認知されていたようで、VOXで録音活動も行っています。
しかし、若かった私には、モノラル時代のホーレンシュタインの真価を全く理解できませんでした。



現在は、スタジオセッションの交響曲第3番と第4番があり、いづれもマーラーファンの間では極めて高い評価を受けています。



さらに、BBCのライブ録音シリーズでは、第6番、





第7番、




第8番、





第9番、




大地の歌が登場し、この巨匠のマーラー演奏の真価が広く知れ渡ることとなりました。




これらの放送録音におけるマーラー作品の演奏は、いずれもかつて他で聴いたことがない深い意味づけの解釈と巨大なダイナミックスに圧倒されます。
ヤッシャ・ホーレンシュタインは、私にとっては最高のマーラー指揮者の一人となりました。





さらに、BBCライブ録音では、ブルックナーの交響曲第5番、8番、9番も至高の演奏が発売されました。



このブルックナーもかつて聴いたことがない巨大な音楽で圧倒されます。
戦前の ベルリンフィルでフルトヴェングラーの助手を務め、ベルリンフィルにマーラーを指導した経歴を持つこんな巨人が何故、戦後、メジャーオーケストラの常任をつとめず、客演指揮者として生涯を終えたのでしょうか。
ユダヤ人としてナチスの迫害を逃れてアメリカへの亡命、戦後の苦難時代がそうさせてきたのでしょうか。
まだまだ、ホーレンシュタインの他の作曲家の演奏について語りたいのですが、この辺で。
とにかく、ホーレンシュタインの音楽を聴くためには、できる限りの大音量で聴くことをお勧めします。