2018年4月22日日曜日

小島のり子(fl)&清水絵里子(p)のライブ@小岩COCHI

2018年4月21日、小岩COCHIで、小島のり子(fl)&清水絵里子(p)のライブを聴いてきました。



フルートの名手の小島のり子(fl)と素晴らしいピアニストの清水絵里子(p)のインストでの競演は初めてとのこと。
これは、聴かなければと思い駆けつけました。
もう一つの楽しみは、小島のり子(fl)が最近手にしたパウエル製のヴィンテージフルートを初めて聴けます。
それも、マイクなしで目の前で!!
まず、最初の曲は、
Have you met Miss Jones ?
美しいテーマ聴いただけで、暖かくソフトなサウンドがしみます。
小島のり子(fl)のソロがスムースに展開する中で、清水絵里子(p)は美しいバッキングを取るのですが、ソロの変化に美事に反応して、ため息をつくようなフレーズを入れていきます。
Greensleeves
清水絵里子(p)のサティー風にも聞こえるシンプルなピアノラインのイントロから
フルートのリリカルなソロに、、
清水絵里子(p)の遠くを眺めるようなピアノソロ
You Are Too Beautiful
小島のり子(fl)の美しいバラード演奏は徐々に高まり鋭い音色やアタックもまじえて展開し、
圧巻のカデンツァに。この楽器のウッディな音色が染みいるようです。
Bouncing With Bud
清水絵里子(p)のチョイスのBUD POWELLナンバー
アブストラクトな二人のサウンドから曲は開始し、
ふっと、おなじみのテーマが始まり、
小島のり子(fl)ならではのフルートによる圧巻のバップ演奏の素晴らしさ、
清水絵里子(p)の圧倒的なバビッシュな展開は美しく、時に予断をゆるさないようなサウンドがきらめきます。
二人の4小節交換も息を呑む展開で、そう来るかというサウンドの応酬が素晴らしい!!
Someone To Light Up My Life
アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲をしっとり歌い上げます。


2ステージ目は
白と黒の肖像  
この曲もアントニオ・カルロス・ジョビン
清水絵里子(p)の囁くようなピアノソロが美しい
小島のり子(fl)のリリシズムの本領が露わになる素晴らしいソロ
You Must Believe In Spring
ルグランの傑作ですが、清水絵里子(p)はライブで良く演奏してくれるので嬉しい。
清水絵里子(p)の静謐なイントロからワルツ風なリズムを刻んで、
小島のり子(fl)が美しいテーマを吹いて、ソロは飛翔し、めくるめく展開で圧倒されます。
清水絵里子(p)のソロは、これぞ清水絵里子(p)という硬質なリリシズムをたたえてたピアニズムに息を呑みます。
ここでの二人の4小節交換も美の応酬にうならされました!!
浦霞ーbules in the sky 小島のり子(fl)のオリジナル曲
グルーブするブルース曲で、小島のり子(fl)のストレートなジャズフルートサウンドが最高!!
清水絵里子(p)の意表を突く展開のピアノソロ!!彼女ならではのピアノの左右の鍵盤をフルに生かした縦横無尽なサウンド!!

The Sound of Silence
小島のり子(fl)によってリハーモナイズを施したアレンジです。
原曲を大きく発展させたタペストリーのようなコード進行
深いサウンドのフルートソロから、ついにはアブストラクトのような沈黙を歌い上げます。
清水絵里子(p)も深い呼吸のソロを開始、テーマを大きく発展・分解させたソロが繰り広げられます。
Joy Spring
クリフォード・ブラウンの名曲です。
難曲で有名ですが、美しいテーマ開示から、
小島のり子(fl)の圧巻のスケールのソロ!!
清水絵里子(p)のピアノはソウルフルなソロがめくるめく展開で大きく飛翔します。

聴衆のアンコールに応えて
There Will Never Be Another You
おなじみのテーマから、一挙に二人のグルーブ世界へ突入です。

初顔合わせとは思えなかった素晴らしいライブでした。
二人の美しい音楽が融合するだけで無く、息を呑むスリリングな応酬が最高でした。

2018年4月20日金曜日

竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブ@原宿JazzUnion

2018年4月19日(木)原宿のジャズ喫茶、JazzUnionで、竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブを聴いてきました。


楠直孝(p)は既にJazzUnionに5回出演していて、JazzUnionのオーナーいわく、もうハウスピアニストですとのこと。
竹内直(ts)は、今回が初出演。
アットホームな雰囲気に、普段より多めなMCが嬉しい。
当夜の演奏ナンバーは、竹内直(ts)の最新作「BALLADS」からのナンバーが中心ですが、ジャズスタンダードからファンク作品、黒人霊歌まで幅広い曲目構成です。
You're My Everything (Harry Warren and Joseph Young作)
マイルス・デイビスやレッド・ガーランドの演奏でおなじみのリリカルなナンバーを楠直孝(p)の美しいイントロから始まり、竹内直(ts)のストレートなバラード演奏!!


You Must Believe In Spring(ミッシェル・ルグラン作)
何もいうこともない名曲です。
楠直孝(p)の囁くような美しいピアノのイントロから、濃厚な竹内直(ts)サウンドが一挙に繰り広げられます。
楠直孝(p)の思わずため息が出るような美しいソロも印象的です。


竹内直(ts)のライブでこの曲の演奏を初めて聴いたときには、私には、あまりにビル・エバンスの名演のイメージが強くて、テナーサックスでどう解釈するのかと疑問に思いましたが、静から爆発的な動へとじっくり歌い上げる圧巻の演奏に参りました。これは最新作「BALLADS」でも取り上げられています。必聴の演奏です!!
With A Song In My Heart (Richard Rodgers / Lorenz Hart作)
ストレートに明るいサウンドで曲は熱く展開し、どんどん集中したテナーは、圧倒的なノンブレス奏法で物凄い高みに到達し、聴衆は只,息を呑んで圧倒されるだけです。


ここで、竹内直(ts)がノンブレス奏法・循環奏法について、聴衆に解説してくれました。
口で息を吐きながら同時に鼻で吸うことで、切れ目のない演奏が可能になる。
何と、実際に演奏してくれて、ほほの動きを注目すると確かに、動いています!!
観客にアピールするには単音を延々と吹けば非常に分かりやすいのですが、竹内直(ts)はノンブレス奏法で美しい激情的なフレーズを繰り広げるのです。
ジャズではハリー・カーネイがバリトンで早くから初めたそうです。
何と、竹内直(ts)は現在のギネス世界記録を超えることも可能だそうです。
普段のライブでは、竹内直(ts)はこれ見よがしにノンブレス奏法を繰り出すことはありません。
激情的な、圧倒的なソロの最中に、あっと思うとノンブレス奏法が始まり音楽は凄さも感じる高みに到達します。

Lost in the Stars    (Kurt Weill)
スローなテンポで始まり、楠直孝(p)の圧巻のソロに続いて、竹内直(ts)のカデンツアのテナーソロは、ノンブレス奏法も使って凄絶なトーンに達します!!

Chariots     (ジョン・スコフィールド作)
ファンキーなナンバーで、楠直孝(p)の素晴らしいファンクピアノは、まるで燃えるアフリカンピアノのようでした。竹内直(ts)のテナーも熱くリズミカルなトーンを繰り広げます。

第2部は
カンツオーナ(作曲者分からず)
楠直孝(p)の透明なピアノサウンドに乗って竹内直(ts)はしっとりしたバラードプレイを繰り広げます。
I concentrate on you(コール・ポーター作)
竹内直(ts)サウンド全開のスタンダード解釈が美事です。

You Are So Beautiful (Billy Preston 作)
ジョー・コッカーのソウルフルな歌唱で有名な曲。
楠直孝(p)の美しいピアノ!
竹内直(ts)の地底から唸るような低音から、天にも届くような高音までテナーサウンドを刻みソウルフルなカデンツアに高まります。





淀川長治先生の出演した日曜洋画劇場のエンディングテーマ曲でおなじみという竹内直(ts)のMCで『So In Love』(コール・ポーター作)
楠直孝(p)の名手らしいドライブするラテンのリズムに乗って、竹内直(ts)は美しいテーマ演奏から泣けるソロを繰り広げます。

Blue Monk  (Thelonius Monk作)
ラストはおなじみのモンク作品。
楠直孝(p)の独特なモンク解釈は美事でした。
竹内直(ts)のリズミックなアプローチのテナーサウンドが素晴らしい。

アンコールは,
"Deep River" (Spiritual)
ゴスペルナンバーとして有名なDeep Riverを、楠直孝(p)の印象的なスピリチュアルなソロに始まり、竹内直(ts)の祈るかのようにじっくりと歌い上げる感動的な演奏で当夜のライブは幕となりました。