2018年4月20日金曜日

竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブ@原宿JazzUnion

2018年4月19日(木)原宿のジャズ喫茶、JazzUnionで、竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブを聴いてきました。


楠直孝(p)は既にJazzUnionに5回出演していて、JazzUnionのオーナーいわく、もうハウスピアニストですとのこと。
竹内直(ts)は、今回が初出演。
アットホームな雰囲気に、普段より多めなMCが嬉しい。
当夜の演奏ナンバーは、竹内直(ts)の最新作「BALLADS」からのナンバーが中心ですが、ジャズスタンダードからファンク作品、黒人霊歌まで幅広い曲目構成です。
You're My Everything (Harry Warren and Joseph Young作)
マイルス・デイビスやレッド・ガーランドの演奏でおなじみのリリカルなナンバーを楠直孝(p)の美しいイントロから始まり、竹内直(ts)のストレートなバラード演奏!!


You Must Believe In Spring(ミッシェル・ルグラン作)
何もいうこともない名曲です。
楠直孝(p)の囁くような美しいピアノのイントロから、濃厚な竹内直(ts)サウンドが一挙に繰り広げられます。
楠直孝(p)の思わずため息が出るような美しいソロも印象的です。


竹内直(ts)のライブでこの曲の演奏を初めて聴いたときには、私には、あまりにビル・エバンスの名演のイメージが強くて、テナーサックスでどう解釈するのかと疑問に思いましたが、静から爆発的な動へとじっくり歌い上げる圧巻の演奏に参りました。これは最新作「BALLADS」でも取り上げられています。必聴の演奏です!!
With A Song In My Heart (Richard Rodgers / Lorenz Hart作)
ストレートに明るいサウンドで曲は熱く展開し、どんどん集中したテナーは、圧倒的なノンブレス奏法で物凄い高みに到達し、聴衆は只,息を呑んで圧倒されるだけです。


ここで、竹内直(ts)がノンブレス奏法・循環奏法について、聴衆に解説してくれました。
口で息を吐きながら同時に鼻で吸うことで、切れ目のない演奏が可能になる。
何と、実際に演奏してくれて、ほほの動きを注目すると確かに、動いています!!
観客にアピールするには単音を延々と吹けば非常に分かりやすいのですが、竹内直(ts)はノンブレス奏法で美しい激情的なフレーズを繰り広げるのです。
ジャズではハリー・カーネイがバリトンで早くから初めたそうです。
何と、竹内直(ts)は現在のギネス世界記録を超えることも可能だそうです。
普段のライブでは、竹内直(ts)はこれ見よがしにノンブレス奏法を繰り出すことはありません。
激情的な、圧倒的なソロの最中に、あっと思うとノンブレス奏法が始まり音楽は凄さも感じる高みに到達します。

Lost in the Stars    (Kurt Weill)
スローなテンポで始まり、楠直孝(p)の圧巻のソロに続いて、竹内直(ts)のカデンツアのテナーソロは、ノンブレス奏法も使って凄絶なトーンに達します!!

Chariots     (ジョン・スコフィールド作)
ファンキーなナンバーで、楠直孝(p)の素晴らしいファンクピアノは、まるで燃えるアフリカンピアノのようでした。竹内直(ts)のテナーも熱くリズミカルなトーンを繰り広げます。

第2部は
カンツオーナ(作曲者分からず)
楠直孝(p)の透明なピアノサウンドに乗って竹内直(ts)はしっとりしたバラードプレイを繰り広げます。
I concentrate on you(コール・ポーター作)
竹内直(ts)サウンド全開のスタンダード解釈が美事です。

You Are So Beautiful (Billy Preston 作)
ジョー・コッカーのソウルフルな歌唱で有名な曲。
楠直孝(p)の美しいピアノ!
竹内直(ts)の地底から唸るような低音から、天にも届くような高音までテナーサウンドを刻みソウルフルなカデンツアに高まります。





淀川長治先生の出演した日曜洋画劇場のエンディングテーマ曲でおなじみという竹内直(ts)のMCで『So In Love』(コール・ポーター作)
楠直孝(p)の名手らしいドライブするラテンのリズムに乗って、竹内直(ts)は美しいテーマ演奏から泣けるソロを繰り広げます。

Blue Monk  (Thelonius Monk作)
ラストはおなじみのモンク作品。
楠直孝(p)の独特なモンク解釈は美事でした。
竹内直(ts)のリズミックなアプローチのテナーサウンドが素晴らしい。

アンコールは,
"Deep River" (Spiritual)
ゴスペルナンバーとして有名なDeep Riverを、楠直孝(p)の印象的なスピリチュアルなソロに始まり、竹内直(ts)の祈るかのようにじっくりと歌い上げる感動的な演奏で当夜のライブは幕となりました。






2018年3月23日金曜日

坂野尚子(fl)トリオ@大塚DONFAN

2018年3月22日、大塚DONFANで坂野尚子(fl)トリオを聴いてきました。


フルートの坂野尚子(fl)、ギターは塩川俊彦(gt) 、ベースはカイドー・ユタカ(b) のおなじみのメンバーです。
塩川俊彦(gt) のお気に入りだそうで、ウエイン・ショーター作のLINBO
塩川俊彦(gt) のドライブ感が決まったギターソロに続いて、坂野尚子(fl)のクールで魅力的なラインのフルートソロ、カイドー・ユタカ(b)のちょっとミステリアスに始まり、びしりと決まるベースソロ!!


アントニオ・カルロス・ジョビン作のルイーザ
ベースのイントロから、坂野尚子(fl)のアルトフルートの深い響きが美しいソロが聴かせます。そしてカイドー・ユタカ(b) の美しいアルコソロに唸る。

次もウエイン・ショーター作品でINFANT EYESです。
塩川俊彦(gt) のギターのインプロから、カイドー・ユタカ(b) の激しいベース、坂野尚子(fl)の鋭いラインのフルートで、曲は迫力満点ので開始し、息をのむインプロが続き、フルートとギターがおなじみのテーマに回帰して秀麗なフルートソロで圧巻のエンディング。

続いて、フルート&ギター奏者のNICOLA STITO作品で、BIBI'S MOOD
軽いサンバのリズムに坂野尚子(fl)のフルートソロが徐々に熱をおび、大きく飛翔し、塩川俊彦(gt) のギターが特徴的なシングルトーンとコードワークで歌います。


セカンドセットは、カイドー・ユタカ(b) のお気に入りの北欧のスタルファン・リンゴン?作品でタイトルは、難しくて分かりませんでした。民謡のようなシンプルな作品です。


カイドー・ユタカ(b) のベースソロの深い響きが印象的。坂野尚子(fl)がシンプルなテーマをクリアに美しく歌い上げます。
塩川俊彦(gt) の繊細なソロが素晴らしい。
スタンダードからGONE WITH THE WIND
塩川俊彦(gt) のハーモニックスを聴かせる魅惑的なギターソロから曲は始まり、坂野尚子(fl)のフルートソロが美しいラインを醸し出します。ここでもカイドー・ユタカ(b) が驚くようなラインからソロを初めて聴かせます。

次の曲では、遊びに来ていたピアニスト「藤井寛子」がシットイン!


彼女には初めてお会いしましたが、1年半前に広島から東京に活動拠点を移したピアニストです。広島のピアニストを聴くのは、素晴らしい「なかにし隆」さん以来かも。
曲はなんと、Nardis!!
藤井寛子が最初にイントロから和音を弾いただけで、際立つ清潔感と透明感溢れるピアノにうなりました!!
坂野尚子(fl)のこちらも硬質なリリシズム溢れるフルートソロ、塩川俊彦(gt) の繊細なコードワーキングが光るギターソロ、そして美しいラインのカイドー・ユタカ(b)のベースソロ!



坂野尚子(fl)と 藤井寛子(p)の4小節交換も、スリルと美しさで聴かせ、圧巻のエンディング。

続いて、スタンダードで、SPRING  CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST
坂野尚子(fl)がじっくりフルートで歌い上げ、カイドー・ユタカ(b)のリリカルなソロが印象的でした。



ランディ・ウエストン作品のHI-FLY
坂野尚子(fl)の縦横無尽なソロで 曲は開始し、硬軟自在なソロを繰り広げます。。
塩川俊彦(gt) のギターも、こちらも熱をおびたソロを繰り出し、カイドー・ユタカ(b) の予測不能なラインのソロで曲は高まりエンディングへ。



聴衆からのアンコールに応えて、
YOU MUST BELIEVE IN SPRING!!



カイドー・ユタカ(b) の美しいベースソロが流れ、坂野尚子(fl)のアルトフルートが、じっくり歌い、泣かせるソロを奏でました。圧巻のラストでした。

いろんな要素が盛り沢山で、さらに素晴らしいゲスト有りのステージでした。


2018年3月16日金曜日

守屋純子オーケストラ@東京TUC

2018年3月14日、守屋純子オーケストラ@東京TUCを聴いてきました。
メンバーは、
守屋純子(pf,arr)
trp:佐久間 勲、木幡光邦、奥村 晶、岡崎好朗
trb:佐野 聡、佐藤春樹、東條あづさ、山口隼士
sax:近藤和彦、緑川英徳、岡崎正典、吉本章紘、佐々木はるか
b:納 浩一 ds:広瀬潤次



コンサートの第1部は、ジャズレコード録音100周年を記念して、過去のジャズレジェンズをトリビュートした作品達です。
1.Fascinating Rhythm(George Gershwin ) 
ジョージ・ガーシュインの有名な明るい作品です。
木幡光邦(tp)と佐藤春樹(tb)ソロが光ります。
アンサンブルは明るく華やかにハーモニーを繰り出します。

2.DUKE’S MOOD (JUNKO MORIYA)
守屋純子はDUKE ELLINGTONNの後期の組曲ものの、あやしい感じが好きということで、そんなムードの曲を書いたそうです。
スローなでだしからピアノ、SAX陣が入ります。佐々木はるかのバスクラリネットがとてもいいアクセントをつけていきます。広瀬潤次のドラムがいかにもエリントンバンドというリズムを刻みます。佐野 聡(tb)の少しビターな音色をたたえたブルージーなソロ、近藤和彦のソプラノサックスが憂を含んだトーンで始まり次第に熱く展開し最後は圧巻のソロ!!
アンサンブルでは佐々木はるかのバリトンのアクセントが効いています。吉本章紘(ts)の太い感じの音色で始まったソロもパワーを秘めたほとばしる熱情という感じが聴かせます。
3.家康公組曲から三河武士魂 Samurai Spirit of Mikawa Warrior
トロンボーンの提示部からSAX陣につながり印象的なテーマの提示、岡崎正典のクラリネットと近藤和彦のフルートがアクセントをつける。守屋純子のリリシズムあふれるピアノで美しいメロディーが醸し出されます。奥村晶(tp)の印象的に美しいソロ。SAX陣が分散して美しいテーマを演奏します。
守屋純子によれば亡くなった三河武士が、それぞれ登場して語るというシチュエーションだそうですが、それは能の世界そのものです。
能の大部分は怨霊が現れ、過去の苦悩を旅の僧侶などに語り、僧侶によって供養、成仏するという話で、戦国時代の明日をも知れない武士に愛されたわけです。
守屋純子の作品は、美事にその精神を継承しています。



4.CHARLIE (JUNKO MORIYA) 新曲
CHARLIE PARKERのWithStringsなどの美しいサウンドに主眼をおいたバラードライクな美しい曲
5人のサックスセクションのみが起立してリズムセクションとともに美しいメロディーで曲は開始し、
最前列の私との距離は1メートル足らずの佐々木はるか(bs)の美しいサウンドのソロは印象的でした。彼女を聴くのは初めてではありませんがバリトンサックスでもバスクラリネットでもこれほどのサウンドをもっていたのかという驚きです。在米中で現在日本に一時帰国しているそうです。このライブの為に帰国を早めたそうです。本日最大の収穫かな。
続いてSAX陣がそれぞれ個性溢れるソロを繋いでいきます。
私との距離60センチの岡崎正典(ts)のクリアーなトーンが印象的な美しいソロ、近藤和彦(as)の目もくらむようなソロ、緑川英徳(as)のドルフィーから見たバードを描いているかのような表現力溢れるソロ、吉本章紘(ts)のしっとり聴かせる美しいソロ!!
5.TRANE’S MODE (JUNKO MORIYA) 新曲
JOHN COLTRANEの至上の愛を意識したが、書いている内にジャイアントステップスやブルートレーンが入ってきたという作品でインパルス初期から中期の激情的でありながら美しいサウンドがイメージされる傑作曲
今日も納浩一のベースソロで曲は開始します。その強く硬質なベースは、伝説のカルテットメンバーで最後までトレーンの音楽に尽くしたジミー・ギャリソンを想起させるサウンドで、ベースをギター的に弾いたりと納浩一の超絶技巧のソロが繰り広げられ、続いてかっこいいピアノとドラムが鋭くからみ、アンサンブルがあの最強カルテットをイメージさせるサウンドを広げ、私の至近距離の岡崎正典(ts)のトレーンのインパルス初期の時代の美しく圧倒的なパワーを思わせる圧巻のソロ!そして岡崎好朗(tp)の力強く強力なラインがきらきら輝くソロ!!何小節かのソロを取る広瀬潤次(ds)の強力な演奏には、私のメモには、新宿ピットインでのエルビンを思いだすと書いてありました!!
第2部
1.オリジナルだけでなく人のいい曲も取り上げるということで、守屋純子が選んだのは、何と、ビル・エバンスの愛奏曲のマイ・ロマンス!!
もう一人のジャズの巨人と言えばという問いかけに、答えは、ビル・エバンス
ビル・エバンスをトリビュートする作品です。そして、さらっと納浩一(b)に今度は、スコット・ラファロ風にねとお願いします。
そんな無茶な注文、納浩一(b)以外では無理でしょうと思いました。前の曲では、ジミー・ギャリソンも真っ青というソロをみせた超絶技巧のベーシストならではです。
守屋純子はエバンスの音楽の特徴は、スタンダードでもとんでもないキーチェンジにあり、それが小節間、1小節内でもあることと考えているそうで、そんなイメージでアレンジを施した最新作です。
普通、エバンスをオーケストラ化するというのは、無謀と考えるのでは無いでしょうか。
私は、エバンスはハーモニーの変化を音楽の基礎に据えていると思っています。時にソロの途中で、考え込んだり、沈黙しているときは、響いている音を聞いて、どんなハーモニー変化がいいかを探っている時だと思っています。
マイ・ロマンスは、守屋純子のリリシズムあふれるピアノソロから、納浩一(b)のタイムをキープしつつ、ピアノと力強く対話するベースが入り、広瀬潤次(ds)は繊細で空間あふれるドラミングで応えます。アンアサンブルは美しいテーマを整然と奏で、そこから一挙に複雑なコードチェンジの世界を一糸乱れずに響かせます。
佐々木はるか(bs)の美しい音色のソロ、吉本章紘(ts)の爆発的なパワーを秘めた美しいラインのテナーソロも圧巻でした!!
この曲のアレンジも傑作!!
第2部は、日本画の巨匠・長谷川等伯にインスパイアされた、今回は3曲からなる長谷川等伯組曲です。
2.ニルバーナ
長谷川等伯 筆 「仏涅槃図」 一幅 京都本法寺 蔵
ニルバーナと名付けたそうです。
釈迦の入滅と、その死を嘆く弟子や動物たちが集まっているを圧倒的筆力で表しています。
この絵には釈迦の母などの人々の他に羅漢、弟子、獅子、象、虎、駱駝、想像上の動物までが描かれています。
守屋純子は、この悲しみにくれる人間・動物などが総て同じ大きさで描かれていることに注目して、悲しみの前では何者も平等だという画家の考えの表れだとします。
曲はミドルテンポで始まりますが、涅槃という絵画から想像するレクイエムのような曲調ではありません。
お釈迦様の涅槃については、このサイトが非常に分かりやすく解説されています。
http://mujintou.net/dharma/bukkyo/ksinagar.htm
以下、引用させて頂きます。
『浄土仏教の思想』第二巻、講談社、1992年では、釈迦も弟子達にこのような言葉をかけています。涅槃は、それまでお釈迦さまのそばにいつもいたアーナンダは、ついにわが師がお亡くなりになると思って「住居に入って、戸の横木によりかかって、泣いていた」といいます。これを聞いたお釈迦さまはアーナンダを呼び、こう言います。
やめよ、アーナンダよ。悲しむな。嘆くな。アーナンダよ。わたしは、あらかじめこのように説いたではないか、--すべての愛するもの・好むものからも別れ、離れ、異なるに至るということを。およそ生じ、存在し、つくられ、破壊さるべきものであるのに、それが破壊しないように、ということが、どうしてありえようか。……アーナンダよ。長い間、お前は、……向上し来れる人(=ゴータマ)に仕えてくれた。アーナンダよ、お前は善いことをしてくれた。つとめはげんで修行せよ。速やかに汚れのないものとなるだろう。(同上p.137)
お釈迦さまはアーナンダをはじめとする修行者たちに告げられます。「わたしが説いた教えとわたしの制した戒律とが、わたしの死後にお前たちの師となるのである」と。さらにしばらく法を説かれたあと、お釈迦さまはこう言われます。
さあ、修行僧たちよ、お前たちに告げよう、『もろもろの事象は過ぎ去るものである。おこたることなく修行を完成しなさい』と。(同上p.158)

と涅槃図は悲しみを描くばかりで無く、残されたものへの教えの希望を描いていると私は思いますが、この曲調はまさにそれに当てはまるようです。
岡崎正典(ts)の美しい音色のテーマ提示からアンサンブルも美しいハーモニーをかなで、岡崎好朗(tp)のリリカルでメロディアスな圧倒的美しさのソロ!!
3.TIGER &  DRAGON 竜虎図  (JUNKO MORIYA) 新曲
竜虎図というモチーフからはダイナミックな作品化と思ったらこれがユーモラスな曲調の美しい曲で、何と5拍子で始まり、岡崎正典(ts)のクリアトーンの美しいラインのソロにため息、佐野 聡(tb)のゆったりしたドライブの美しいソロへ展開します。
SAX陣とトランペット陣とトロンボーン陣が、会話をしているかのような印象的な主題交換で曲は閉じます。
あとで守屋純子に質問したら、SAX陣は虎、トロンボーン陣は龍、トランペット陣は雲を表しているそうです。
岡崎好朗(tp)と緑川英徳(as)の静謐で緊張感溢れるソロが印象的でした。
4.PINE TREE 松林図屏風 (JUNKO MORIYA) 新曲
誰もが知っている日本絵画史上最高作の一つ(私見では、もう一つは雪舟の山水長巻)、苦労をともにしてきた妻、長命であれば等伯を超えたであろう天才絵師の長男・久蔵と家族に先立たれて描いた故郷七尾の松林の風景といわれています。郷愁や哀感、孤独、静謐といった感情が鑑賞するたびにめばえます。
守屋純子の作品は、ホーンセクションのコラールような響きから始まり、じっくりと静かな風景をオーケストラで描ききります。近藤和彦(as)の彼ならではの圧倒的に流麗で洗練されたラインのソロは、ほのかな哀しみの味わいを感じさせます。納浩一(b)の美しいアルコソロは海岸に吹く風でしょうか。

5.MONKEYS IN WITHERED TREE 枯木猿猴図 (JUNKO MORIYA) 
ユーモラスなテーマでアンサンブルは展開しますが、佐々木はるかのバリトンのアクセントが凄く良く効いています。そして、緑川英徳(as)の圧倒的ソロ。私のメモには、ミドリーヌ全開の圧倒的ソロと書いてありますが、飛翔し、うねり、魂を叩きつけるような圧巻のアルトソロ!!続いて奥村晶(tp)のブリリアントなラインが光るソロ!!



アンコール
My Jelly Roll Soul (Charles Mingus作)
もう一人のジャズの巨人と言えば、Charles Mingusでしょうということで、アンコールはミンガスのおなじみのナンバーです。
リズミカルなアンサンブルに乗って、木幡光邦(tp)の絶妙なミュートソロに唸ります。
東條あづさの(tb)のミンガス風にアーシーな音色の素晴らしいソロ!!
そして曲はクライマックスに入るとトランペット陣の顔色が変わります。
岡崎正典(ts)の鋭いソロ!!
次に奥村晶(tp)のブリリアントなソロ!!
次に佐久間 勲(tp)の空間を切り裂くソロ!!
木幡光邦(tp)の圧巻の歌い回し!!トランペット陣が次々にすさまじいソロを受け渡して、曲は圧倒的なエンディング!!
私のメモに(tp)凄い!!とだけ書いてありました。
あっという間の2ステージは、守屋純子の素晴らしい作品とジャズオーケストラサウンドを堪能し尽くした時間となりました。

新作の発売は夏頃の予定だそうです。



2018年3月13日火曜日

お知らせ「幻の」・「伝説の」名演を聴いてみよう。レコード大会!!

お知らせ
3月19日午後1時30分より原宿のジャズ喫茶Jazz Unionでレコードをかけさせて貰います。
午後7時30分まで私はいます。
山下洋輔の燃えるピアノを弾く作品(ぼく海の底で燃えているものを見たよ   
八木正生 構成    .佐藤信 詩    .八木正生 ,ピアノ.山下洋輔 ,ピアノ.霧生トシ子 ,ピアノ.石井くに子 詩の朗読    )、
さらに渡辺貞夫と富樫雅彦の傑作群、佐藤允彦、ニューハード、本田竹広、梅津和時、阿部薫、
尾田悟の某超人気女性ピアニストとの幻のライブ、ブレッカーの来日エアチェック、
ミンガス、ケニー・ドーハム、ソニー・クリス、ビル・エバンス、その他珍盤レコードを持って行きます。
私のジャズへの恩返しと、いろいろな書籍で語られ伝説となっている演奏をジャズファンに聴いて貰いたい気持です。
お暇ならきてね❗️
ジャズとオーディオに造詣が深く遂にはジャズ喫茶を開店してしまった達人のユニオンのオーナー先生と
当日お店担当の名フルート奏者の坂野尚子さんに感謝。
他のお客様の新譜リクエストもあるので、長時間必須。興味気軽にどうぞ。
私へのリクエストOK!
No money、NO charge!!
ユニオンの美味しいコーヒー・紅茶代だけです。






 



2018年3月8日木曜日

音楽の学校  音楽の劇場 林光作品集



先日、レコードラックを整理して思いがけず発見したボックスセットを開けてみることにした。
1979年に或る教育学者から、音楽ファンの君がもっていなさいと頂戴したセット。
中には、山下洋輔(p)が燃えるピアノを演奏する有名な作品も含まれていることは認識していた。
今回、全11枚を出してみて内容を確認した。
一番驚いたことは、これだけの大全集でありながら、しかも出版社から発行されたものなのに、ブックレットや解説が一切無い(箱はレコードだけで隙間がない)。
素っ気ないジャケットのタイトル・演奏者表記だけ。
林光や 企画・構成の佐藤信、田川律は、このレコードの音楽だけで十分語れると判断したのだろうか。
もしかしたら別に書籍があるのではなかろうか。

この全集のデータを探したが殆ど無く、仕方が無いので
ジャケットから以下のような内容データを作成した。(一部欠落した情報がある)



音楽の学校 1 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
ちょうちょうとチンドン屋   
山元清多 作   
富樫雅彦 音楽   
東山千栄子 語り手   
伊東四朗 チンドン屋   
富樫雅彦(ds)
ジョー水木(perc)
宮沢昭(fl)
渋谷毅(p)
原田政長(b)
SideB
交響曲ト調   
第1楽章 モデラート   
第2楽章 スケルツォ-はやく   
第3楽章 間奏曲-ゆっくり   
第4楽章 ロンド-元気よく   
「音楽の劇場」交響楽団 演奏   
外山雄三 指揮



音楽の学校 2 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
空のおとし穴   
ヴァイオリンの音
別役実 作   
池辺晋一郎 音楽   
中村伸郎 語り手
ロロ;伊川東吾
トト;斉藤晴彦
ググ;福原一臣
キキ;小篠一成
ヴァイオリン;植木三郎   
SideB
あまんじゃくとうりこひめ オペラ   
若林一郎 作   
うりこひめ;大川隆子
あまんじゃく;勝本章子
じっさ;築地利三郎
ばっさ;荘智世恩
とのさん;芳野靖夫
けらい;田口興輔
溝口舜輔 朗読   
「音楽の劇場」室内管弦楽団 演奏   
外山雄三 指揮



音楽の学校 3 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
ねずみとねずみ小僧   
大西信行 作   
八村義夫 音楽   
浪花屋辰造 浪曲   
浪花屋りつ子   
桃山てつ江 三味線   
野口 龍 ピッコロとフルート
SideB
ソナチネ   
本荘玲子 ピアノ   
ニ台のマリンバのためのコントラスツ   
田村拓男   
吉川雅夫 マリンバ   
裸の島(映画「裸の島」主題歌)   
「音楽の劇場」交響楽団 演奏   
外山雄三 指揮



音楽の学校 4 : 林光作品集
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:

怪獣ムシャムジャがやってきた   
川崎洋 作   
宇野誠一郎 音楽   
柳家つばめ 怪獣ムシャムジャ   
東映児童合唱団 子どもの合唱   
SideB
緯1   
野坂恵子 二十絃箏   
野口龍 フルート   
田中正大 ホルン   
斎藤明 バス・クラリネット   
野口武 コントラバス   
道   
谷川俊太郎 詩   
勝本章子 ソプラノ独唱   
子供と線路



音楽の学校 5 : 林光作品集
ほるぷ出版
形態:
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
ぼくの銀河鉄道   
関根弘 作・朗読   
二子鬼剣舞 鬼剣舞   
「星めぐりの歌」(宮沢賢治 詞・曲)   
吉田美奈子 歌とピアノ   
SideB
ゴールドラッシュ   
岩田宏 詩   
日本プロ合唱連合 合唱   
林光 指揮   
中牟礼貞則(g)
生明慶二(vib)
原田政長(b)
小津昌彦(ds)
佐藤允彦(p)
※ゆかいなジャズと合唱
不死馬   
日本プロ合唱団連合 合唱   
中田信昭 指揮   
フルート;野口 龍
オーボエ;山本洋一
クラリネット;兼氏康雄
ファゴット;山田秀男
ホルン;山城雅之
トランペット;山口進一郎
トロンボーン;坂本辰則
チューバ;青柳哲夫
パーカッション;雨宮靖和
パーカッション;占部茂子
※元気な馬の行進曲



音楽の学校 6 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
津軽・1973   
河内紀 構成   
SideB
フルートソナタ   
第1楽章 オスティナート   
第2楽章 悲歌   
第3楽章 花のうたのロンド   
小泉浩 フルート   
高橋アキ ピアノ   
花のうた   
佐藤信 作詞   
渋谷毅 編曲   
由紀さおり 歌   
けっして来ない聖者の日   
ベルトルト・ブレヒト 作詞   
林光 訳詞   
前田憲男 編曲   
岡崎広志 歌



音楽の学校 7 : 林光作品集 ※ピアノを燃やす作品です。
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
ぼく海の底で燃えているものを見たよ   
八木正生 構成   
佐藤信 詩   
八木正生 ,ピアノ
山下洋輔 ,ピアノ
霧生トシ子 ,ピアノ   
石井くに子 詩の朗読   
SideB
セレナーデ   
旭孝 フルート   
林光 ピアノ   
フルート二重奏   
旭孝   
中川昌三 フルート   
センチメンタルジャーニー   
加藤直 作詞   
安田南 歌   
山本剛 ピアノ   
福井五十雄 ベース   
小原哲次郎 ドラムス   



音楽の学校 8 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
変身ギター エレキ   
中山千夏 作   
牧野周一 語り手   
中山千夏   
佐藤允彦 テーマソング   
SideB
夕べのリサイタルのテーマ   
林光 ピアノ   
旭孝・中川昌三 リコーダ   
加藤稔 ギター   
植木三郎 ヴァイオリン   
苅田雅治 チェロ   
前奏曲   
メヌエット   
三拍子のセレナーデ   
旭孝・中川昌三 リコーダー   
四拍子のセレナーデ   
小さなかわいいエスキモーの猟師   
長谷川四郎 作詞   
渋谷毅 編曲   
沢田祥子 歌   
こわれたおもちゃ   
武鹿悦子 作詞   
由紀さおり 歌   
十二月のうた   
サムイル・マルシャーク 作詞   
湯浅芳子 訳詞   
前田憲男 編曲   
尾藤イサオ 歌   
ぼくらの町は川っぷち   
峯陽 作詞   
前田憲男 編曲   
岡崎広志 歌
しゅっぱつ   
木島始 作詞
前田憲男 編曲   
沢田祥子 歌       
第四砂町中学校校歌   
岩田宏 作詞   
前田憲男 編曲   
由紀さおり 歌   
利根の川風   
正岡容 作詞   
前田憲男 編曲   
尾藤イサオ 歌   
動物園   
佐藤信 作詞
渋谷毅 編曲   
由紀さおり 歌   



音楽の学校 9 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
29通の手紙  
作曲家 モーツアルト
山田正弘 構成   
清水紘治 語り手   
岡林信康 手紙朗読   
染谷利貴  少年モーツアルト
演奏 N響室内合奏団
指揮 岩城宏之
SideB
ピアノの教室   
林光 ピアノ   
物語   
佐藤信 作詞   
渋谷毅 編曲   
岡崎広志 歌   
真田隊軍歌   
福田善之 作詞   
渋谷 毅(編曲)
沢田祥子 歌   
WHY?WHY?   
前田憲男 編曲   
由紀さおり 歌   
舟唄   
すたこら階段
佐藤信 作詞
前田憲男 編曲   
岡崎広志 歌   
背中あわせの歌   
渋谷 毅(編曲)
沢田祥子 歌   
岡崎広志 歌   



音楽の学校 10 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
SideA
アフリカからアフリカへ   
佐藤允彦 構成   
宮沢昭 (ts)
前田憲男(p)
原田政長(b)
ジミー竹内(ds)
薗田健一とディキシー・キングス
ジョージ大塚クインテット
がらん堂
その他
演奏
演奏   
SideB
原爆小景   
1 水ヲ下サイ   
2 日ノ暮レチカク   
3 夜   
作曲 林 光
作詞 原 民喜
東京混声合唱団 合唱   
田中信昭 指揮   



音楽の学校 付録 : 林光作品集
ほるぷ出版
著者名:
* 林光
* 佐藤信
* 田川律 企画・構成
目次情報:
少年少女のためのN響コンサート(構成 林 光)
SideA
ロシアの踊り    (ストラビンスキー)
NHK交響楽団   
チェンバロ 尾高忠明
岩城宏之 指揮   
王女たちのロンド    (ストラビンスキー)
粉屋の踊り    (ファリャ)
戦争とナポレオンの敗北     (コダーイ)
断頭台への行進    (ベルリオーズ)
パシフィック231    (オネゲル)
NHK交響楽団
シンプル・シンフォニー     (ブリテン)
ロンド,ポロネーズ,バディネリ    (バッハ;管弦楽組曲より)
終曲 (チャイコフスキー;セレナーデより)
N響室内合奏団   
小出信也 フルート独奏   

2018年3月3日土曜日

原尞講演会「沢崎と私の30年」を聴講してきました。



2018年3月2日
原尞「それまでの明日」刊行記念 原尞講演会「沢崎と私の30年」を聴講してきました。
14年待っていた沢崎!
楽しい講演会でした。


14年間何してたという質問も!
14年間楽しんだ。
早川書房編集部が、ユーモラスに悲壮に、14年間、携帯もファックスも持たない、電話もジャックから抜いてある先生に、必死にお願い、泣き落とし、催促を繰り返してきた歴史を振り返りました。
一番印象に残る言葉は、小説に書いたことしか沢崎について知らない。
沢崎は、モデルがいない。
それ以外の登場人物は、先生の中から生まれた。
プロットとかを立てるべきと思わない。
映像化についても、映画にかかわる仕事の経験もある先生は、無理だという認識。
それは、チャンドラーのフィリップ・マーローが小説の中では32〜33歳だが、語り口とか思考はもっと分別がある年上の人。この年齢のギャップが小説のきもであり、魅力である。
だから、数々のハリウッド映画が作られたが、若すぎたり(エリオット・グールド)、老けすぎたり(ロバート・ミッチャム)、ハンフリー・ボガードでもどうも合わない。
それは年齢のギャップの問題をクリアできないから。
若い二枚目俳優に演じさせて、語りをロバート・ミッチャムにしたらなんて思ったりします。
沢崎についても、小説の中の実年齢(30代)と、分別のある語り口、思考の年齢(40代〜50代)とを随分考えた。
ラジオドラマ化を許可したことがあった。
聴いて驚いた、俳優の語り口が気持ち悪くて、すぐ打ち切り。
この思考と行動のギャップ、年齢のギャップが小説の魅力であり、映像化が無理な理由である。

この話は、よく分かりました。小説を素直に読むと沢崎は結構乱暴な言葉で、冷たかったりする。
ハードボイルドの愛好者には、何の違和感も無い語り口なのに、初めて沢崎を読んだ女性から、沢崎は結構冷たいという感想を言われたことに驚いたことを思い出しました。

講演内容については、ミステリーマガジンに掲載予定です。

質疑応答タイム。
マニアの多様な質問
印象的な質問は、沢崎の車、ブルーバードについて
既に相当な距離を走っている。
車検を通すのか、廃車にするのか、買い換えるのか?
回答
新刊でその件は分かります。

何故、ブルーバードを選んだのか?何らかの思い入れがあるのか?
回答
私は運転しません。車も詳しくない。嘘くさくないように詳しい人から教わったりした。
探偵がブルーバード(青い鳥)にのるという比喩が気にいってるかも。
同様ににタバコもピース(平和)も比喩が、、、
昔、「金鵄」という名称のタバコが戦後変更されたことがあった。また、「金鵄」が蘇るような嫌な時代になってきている。

ブルーバードについては、私は驚きました。
沢崎は車にこだわりがあり、510という型式のブルーバードがサファリラリーなどで大活躍したタフな車だから選んだのだと思っていたので。



質疑応答も半ばまできて、ジャズピアニストの話を聴かないと原尞の世界は分からないのに。
これはまずいと思い、私が勝手にジャズファンを代表して😓質問した。
1970年代に先生の演奏を二度聴いた。
PIT INNと法政大学だったような気がする。
フリージャズのピアニストとして私の印象に残るリリカルな演奏(ちゃんと言ったか自分で疑問)だった。
ジャズが混乱してた時代に先生もピアニストとして苦闘されたと思う。
現在は、ジャズとどう付き合っているのか?

回答
大学になってピアノを始めた。
テクニックに限界があった。
やれること全てを広げた演奏だった。
ある時、凄いテクニックの後輩が現れた。
クラシックでもジャズでも何でも弾ける。
譜面を見て全部弾ける。
それを見て、思った。
弾ける事がジャズでは無い。
私の演奏は何を選択するのかを考えることだ。
そんなことで、ジャズを弾くより、
生まれた時から身についている日本語を書くという行為は完全に実現できることなので、自然に移行していった。
その結果がハードボイルド小説を書くことに繋がっていった。

現在、ジャズについては、新しい楽器が入れば、ワイワイと仲間で弾いたりするような関係。

現在の先生のジャズ観を聴きたかったが、先生にうまくかわされたようです。

2018年3月2日金曜日

ロイ・ハーグローヴ・クインテット@ブルーノート東京



2018 3.1 thu. ブルーノート東京で、ロイ・ハーグローヴ・クインテットを聴いてきました。メンバーは、
Roy Hargrove(tp,flh,vo)
Justin Robinson(sax,fl)   
Tadataka Unno 海野雅威(p)    Ameen Saleem(b)   
Quincy Phillips(ds)
お目当ては、私は5年ぶりになる海野雅威のピアノ演奏。米国永住を決意して以来、何年にも渡って、米国で大活躍している。そんな彼のピアノがどう進化したのか、興味津々です。
さて、ブルーノートの店内照明が暗転し、バンドが、後方から入場。
リーダーRoy Hargroveは、赤茶系統の細身のスーツを粋に着こなしていた。他のメンバーも全員イカしたスーツでした。
そして、バンドスタンドに立つといきなり、トランペットを吹き出し、バンドは初っ端から強烈な熱を発して演奏が始まりました。
マイルスばりに、ノーMCで突き進みます。
ワンステージの全ての曲が、私にとっては、極めて馴染みやすいカッコいいテーマの曲ばかりで嬉しくなっちゃう。




さて、Roy Hargrove(tp,flh,vo) のプレイ。昨日は、その情熱的で明解で、リズミックなソロに圧倒されたけど、一夜明けて振り返ると、それは、凄い技巧に裏打ちされたものだった。この人は、技術の凄さを表面化して見せつけるのは、よしとしない。全ての技巧は音楽の構成のためにひれ伏すとしているかのようなプレイぶりでした。目の前で聴いているせいでしょうか、ラッパから飛び出る強い音、歌心溢れ、なおかつ衝撃的なスピード感溢れるソロは、誰とも比べられない。この人ならではのものです。最後には、渋いボーカルも披露して、サービス精神も旺盛です。
そして、Justin Robinson(sax,fl)、初めて聴くアルトプレーヤーです。昨日最も衝撃を受けたプレーヤーです。
大柄な体にアルトサックス、何やらユーモラスですが、ソロを聴いて驚いた。物凄いプレイ。次から次へと歌心溢れるフレーズが永遠に繰り出されるソロ。そこには、目も覚めるような超高速の指使いによるスピード。でもこの人は、フリーキートーンや、濁った音は一切出さないで、クリアで、硬質で力強い音色で押しまくります。出てくるソロの性質は、全く違いますが、パーカーやドルフィーはこんな風に吹いていたのかなとずっと思っていました。凄まじいソロの連続でした。   
Ameen Saleem(b)のベースも初めて聴きます。太く力強いながら、チェンバースのように柔らかい音色で、ガッチリしたビートを刻んでリズムの変化が物凄いバンドサウンドを基礎から固めます。一曲だけ長いソロを取りましたが、初めから終わりまで、無理、ムダ、もたれる音が一切無い、歌心溢れる素晴らしいラインを刻んでいきます。





Quincy Phillips(ds)も初めて聴くドラマーです。
スーツのジャケットを颯爽と脱ぎ、シャツとネクタイで、演奏です。1音目から分かりました。私の大好きなタイトな音のドラミングです。サウンドは、大きな音ですが、決して喧しくならないコントロール。海野のピアノの弱音部分にも決して邪魔にならないセンスあふれるプレイ。このグループのサウンドは、独特の強烈なリズムとビートなのでしょうが、それを引っ張る鮮やかなドラミング!!ソロでも、ムダなおかずがなく、鋭いシンバルワークに鮮やかなスネアショットで、曲の構成をしっかり伝える圧巻のソロでした。
そして、海野雅威(p)
ソロにバックに縦横無尽にプレイを決めて、このバンド、海野雅威が引っ張っているのかという勢いです。デビュー以来誰もが絶賛したテクニックとグルーブは、さらに進化して、それら全ては、美しい音楽を生み出す過程に過ぎないことを思い知らされます。ソロでは、これぞ、トランペットのクインテットのハードバッブだと言わんばかりに、カッコよく決めていきます。何より、彼の笑顔からは、演奏を楽しんで充足していることが顕著に感じられました。
あっという間のワンステージでしたが、ラストは、ロイとジャスティンが客席を練り歩いて退場し、ベース、ドラムも、そっと退場し、海野雅威(p)のソロが、アーシーなリズムで飛躍していき、最後は、名残惜しむような繊細なメロディを残して、そっとステージから、去って行きました。一回りもふた回りも大きくなった音楽家に感動して家路に着きました。