2018年12月30日日曜日

渡辺文男(ds) 生誕80年 Birthday Special Live 峰 厚介(ts)、山本 剛(p)、鈴木良雄(b) @町田Nica’s

12月29日、町田Nica’sで渡辺文男(ds) 生誕80年 Birthday Special Live 峰 厚介(ts)、山本 剛(p)、鈴木良雄(b) を聴いてきました。


日本を代表する大御所が、文男ちゃんの傘寿をお祝いに圧巻のライブを繰り広げました。
どのナンバーもこの名手たちの手にかかると生き生きと演じられます。


特に第2セットに入ってからは、文男ちゃんにデコレーションケーキのプレゼントがあり、
会場全体がハッピーバースデーを合唱して乗りに乗ってしまい、演奏もヒートアップ!!




特に印象に残った曲(あまりの混雑にメモを取るどころではありませんでた😓)では、
まず、ブルーモンク!
山本剛の豪快な左手のアクセントに、これまた素晴らしいモンク解釈をがほとばしる右手のトーンは圧巻でした。山本剛(p)ならではのグルーブ溢れる美しいピアノサウンド!!



村田憲一郎(ds)がシットイン して、渡辺文男がMy Idealをじっくり歌いました。


村田のドラミングも力強くで小気味好くて素晴らしい。



鈴木良雄の美しく推進力溢れるベースソロから始まるAlone Together!
いつもながらの、ぞくぞくするほど美しいベースサウンド!!


峰厚介のインスピレーション溢れる自在なソロ!!硬軟自在の圧倒的コントロールのテナーサウンド!!


山本剛のシングルトーンに泣かされます。
Body And Soul での鈴木良雄と山本剛の絶妙な呼吸と美しい掛け合い。
渡辺文男の味わい深い歌と心揺さぶられる乾いた若々しいドラムソロ!!
峰厚介の独特のラインをつむぎだし音楽がどんどん高みに登り最高の絶唱になるテナーソロ!、
立錐の余地がないほど混み合ったニカスでそれそれ秘術を尽くした熱いライブでした。
聴衆も割れんばかりの声援で文男ちゃんの誕生日を祝ってライブは大盛況で終了しました。
立ち見のお客さんもお疲れさまでした。



私が最初に渡辺文男を聴いたのは70年代のピットイン。
その頃すでにドラム界をリードする一人でした。
そして80年代、主に横浜エアジンで、ピアノ太田寛治、サックス榎本秀一、トロンボーンの粉川忠範、ベースは、小杉敏か紙上理という編成で、熱いハードバッブを演奏していました。
それこそエアジンに出演するごとに横浜にいくようなペースで聴きに行ったなあ。
余談ですが、その頃エアジンには、梅津和時がいまのサキソフォビアのような管楽器アンサンブル編成で出演していて良く聴いた。あれは何というバンドだったのか覚えていません。
渡辺文男は、それ以来、私にとって日本のハードバッブを牽引する音楽家として存在しています。
渡辺文男と共演した、高橋知己(ts)、元岡一英(p)、吉田桂一(p)など多くの素晴らしいジャズマンを聴くようになったのでした。
これからも素晴らしい演奏を繰り広げていかれることをお願いします。

2018年12月16日日曜日

纐纈雅代TRIO 纐纈雅代(Sax)田中信正(P)竹村一哲(Ds)@新宿ピットイン

12月15日新宿ピットインで纐纈雅代TRIO 纐纈雅代(Sax)田中信正(P)竹村一哲(Ds)を聴いてきました。


1曲目はオーネット・コールマンの作品
纐纈雅代(as)の疾走する跳躍するアルト!
飛翔するアルトサウンドにフィットする、自在なスピードとテンポの変化をもたらす竹村一哲(ds)のドラミング
田中信正(p)のアルトのフリーインプロを美事に支えるバッキング、ソロではピアノのダイナミズムを極限まで引き出しながら美しいトーンを聴かせます。
2曲目 フリーインプロビゼーション
竹村一哲(ds)がゆったりとしたテンポでドラムをたたき出す。
太いシンバルサウンドと力強いスネアがバンドの基礎を支えて前進させていきます。
纐纈雅代(as)のアルトがゆったりしたテンポでソロを開始し、次第に熱をおび、徐々に早くなり音色も強烈に変化していき、背中を反らすようにアルトは叫び、最後は超速のフレーズに突入していきます。
これに応える絶妙な田中信正(p)のピアノ。
そしてフルパワーになった竹村一哲(ds)のドラム。
熱いソロを繰り広げながら
纐纈雅代(as)と田中信正(p)の挑発し躍動する絡み、
纐纈雅代(as)と竹村一哲(ds)の精密に音を通じあい相互作用する絡み
竹村一哲(ds)と田中信正(p)のリフ交換から爆発する絡みが
絶妙でこの三者の音楽を一層有機的なものにしています。
そこから圧巻のエンディングに突入していきました。
フリーのインプロ主体の曲を聴きながら、纐纈雅代(as)の圧倒的バーチュオーソを感じるとともに、いかなるソロを繰り広げようと、音楽をコントロールしていく余裕に感銘を受けました。
3曲目は纐纈雅代(as)のオリジナルで、冬のワルツ
スローテンポで開始される、えもいわれぬ美しいテーマの演奏が始まります。
纐纈雅代(as)は、ストレートにじっくりと深く歌いあげていきます。
そこに田中信正(p)の美しいトーンのソロが展開され曲調は徐々に拡大し、
田中信正(p)のピアノと竹村一哲(ds)ドラムが絶妙な絡みでお互いに音楽を高めていきます。
そこに纐纈雅代(as)のアルトが入ってきて音色がどんどん高まり変化していき高揚したラストのエンディングにつなげていきます。
4曲目も纐纈雅代(as)のオリジナルで、バーンアウト
アップテンポの格好いいテーマの曲で、のっけから疾走する纐纈雅代(as)のアルトが熱いフレーズを繰り出します。
竹村一哲(ds)のみじんも揺るがない熱いビートが曲を前進させます。
田中信正(p)のピアノがいかにも田中信正(p)らしい不思議なボイシングを着け、ソロに突入すると思いもかけないフレーズの展開に驚愕しました。
竹村一哲(ds)の強烈なパワーのドラムソロで曲は一挙に勢いづいて、三者全開のエンディングで手に汗握るファーストセットは終わりました。


2セット
最初の曲も纐纈雅代(as)のオリジナル
ダンサンブルなりズムに乗った、かっこいいテーマでキャッチーなとても聞きやすい曲です。
ここでの纐纈雅代(as)のリズム感溢れるストレートなソロは、徐々に高揚していき変幻自在なサウンドをばらまいていきます。格好いいビーを刻む、竹村一哲(ds)のシンバルとスネアがグルーブ感溢れて、聴衆を揺らします。
田中信正(p)のピアノもリズミックなアプローチでソロを繰り広げます。ピアノの鍵盤の左右をフルに使ったリズム感あふれる名人芸を叩き出します。
2曲目も纐纈雅代(as)のオリジナルで、アフリカンシャワー
タイトル通り、アフロリズムで熱いテーマのメロディ。
纐纈雅代(as)のリズムに乗ってコントロールされたソロは、硬軟自在に繰り広げていきます。
竹村一哲(ds)の強烈なリズムはこれぞアフリカというドラミングで音楽を推進していきます。


田中信正(p)のピアノが、ビートに乗ってフレーズを紡ぎ出してきます。
この纐纈雅代(as)オリジナルの2曲のストレートな魅力はたまりません。
3曲目は,カーラ・ブレイのLAWNSかな?
美しいピアノのイントロから、バラードのテーマが始まります。
田中信正(p)の凛々しいピアノの極致と言える美しいサウンド。
そしてこれに続いて纐纈雅代(as)のアルトが深い呼吸でじっくり歌いあげていき、最後は圧倒的にソウルフルに深い歌い上げで絶唱です。多彩な表現を見せる纐纈雅代(as)に驚きです。
ラストナンバーもまた、オーネット・コールマンの作品
のっけから激しく展開する纐纈雅代(as)の熱いアルト。
フリーインプロビゼーションアルトの極限かという表現力!!
竹村一哲(ds)のドラムがパルシブで重厚に曲を推進させます。
田中信正(p)のピアノがハードに音楽世界を広げていきます。
そこから纐纈雅代(as)のスピード感触れるテーマに戻り、圧倒的なエンディング!!
聴衆の熱い歓呼に応えて、アンコールは竹村一哲(ds)の作曲でメリークリスマス
スローテンポの美しいメロディーのテーマで、息を呑む田中信正(p)の美しいピアノソロ!
纐纈雅代(as)の美しいトーンのアルトソロも目を見張らされる美事なものでした。
あっという間の2ステージでしたけど、纐纈雅代(as)の圧巻のアルトプレイ、田中信正(p)、竹村一哲(ds)という名人のコラボの凄さを実感した素晴らしいライブでした。
あっという間の2ステージでしたけど纐纈雅代(as)の圧巻のアルト!田中信正(p)、竹村一哲(ds)という名人達のコラボの作り出す世界は素晴らしいものでした。

板垣光弘pトリオ 吉木稔b 三科律子ds@新宿ピットイン

今日は、新宿ピットインで、板垣光弘pトリオ 吉木稔b 三科律子dsを聴いてきました。




板垣の圧巻のピアノ、
美しいフレーズが、途切れることなく紡ぎ出すピアニズム!
超速テンポでも右手と左手の絶妙なコントロール!
多彩なオリジナル曲からミスティまでやってのける幅広い表現力!!
力感溢れる吉木のベース、
ベースを拾うマイクがあって、ピックアップにあまり頼らないようですが、

太い弦を強く刻んでいくサウンドは素晴らしい。
そして、透明でパワフルな三科の凄いドラムを堪能しました。
シンバルの圧倒的な透明感あふれるサウンド。

熱く力強いスネアショットも凄絶ですが、決して濁らないクリアさは、驚きのドラミング!
トリオの新作CDをリリースしたばかりとあって、三者のインタープレイの見事さに眼を見張るようでした。









中島朱葉(as)横原由梨子(Ts)中道みさき(Dr)@小岩COCHI

2月11日(日)は、小岩COCHIで、中島朱葉(as)横原由梨子(Ts)中道みさき(Dr)を聴いてきました。
中島朱葉のドライブ感と歌心溢れるアルトは、圧巻でした。
初めて聴く横原由梨子の繊細かと思うと太いサウンドを奏でるテナーに感心しました。
中道みさきの良く歌うドラミングも素晴らしい!
楽しいライブでした!


2018年11月16日金曜日

守谷美由貴(as)トリオ、with 永武幹子(P)今泉総之輔(Ds)特別ゲスト 細井徳太郎(g)@新宿ピットイン

2018年11月13日、新宿ピットインで、守谷美由貴(as)トリオ、with 永武幹子(p)今泉総之輔(ds)特別ゲスト 細井徳太郎(g)を聴いてきました。


守谷美由貴(as)オリジナル曲のM'sジレンマや
山下洋輔トリオのナンバーのミナのセカンドテーマ、クレイ(森山威男作品)、キアズマを
守谷美由貴(as)の硬軟自在のアルトが熱く奏でます。
超高速ソロも完全にコントロールできるインプロ手腕も素晴らしい!
バラードでの深い呼吸の歌い方も納得です。
これに今泉総之輔(ds)の強力ドラムが基礎を支えます。
パルシブな要素を要求される曲を見事にこなします。

そのドラミングは、大きな波がよせてくるかのようなうねりを感じました。
永武幹子(p)のピアノが印象派風なソロ!
特別ゲストの細井徳太郎のギターが圧巻のパワー演奏!
浮遊感漂うイントロから、
山下洋輔トリオナンバーなどでの歌い叫び、うねるギターが圧倒的でした。
色々、聴き所満載の素晴らしいライブでした。



西村有香里(ts) duo with 吉田桂一(pf) @町田INTO THE BLUE

2018年11月8日、西村有香里(ts) duo with 吉田桂一(pf) @町田INTO THE BLUEを聴いてきました。



関西で活躍中の西村有香里(ts) のテナーを初めて聴きました。
これに名手・吉田桂一(p)が共演します。




西村有香里(ts) のテナーは、いまどき珍しいメインストリームそのものでした。
バップチューンを淀みなく紡ぎ出し、バラードプレイではじっくり深く歌い上げます。
ストレートで自然体の素晴らしいテナープレイは驚きでした。



 

吉田桂一(p)のいぶし銀のピアノプレイはいつもながら圧巻でした。
印象的な左手のフレーズでテナーを支える美事なバッキング、
目を見張るバッププレイや心に染みる美しいソロ!
つぼを押さえた小粋なサウンドと哀愁漂うサウンドには脱帽です。



 

西村有香里(ts) と吉田桂一(p)の初共演とは思えないスリリングで美しい絡みは圧巻でした。
素晴らしいデュオライブでした。

2018年11月6日火曜日

小島のり子(fl)のニューアルバム「any time」のCD発売記念ライブ@吉祥寺サムタイム

11月5日は、吉祥寺サムタイムで小島のり子(fl)のニューアルバム「any time」のCD発売記念ライブを聴いてきました。



メンバーは、小島のり子(fl)、天野 丘(g)、落合康介(b)
1曲めはトラディショナルなナンバーからグリーンスリーヴス
小島のり子(fl)の美しいソロが印象的な演奏です。
2曲目が I Remember You
小島のり子(fl)の独特のジャジーなフレージングがめくるめく展開を繰り広げて聴かせます。
天野 丘(g)のピックを使わないギターソロが不思議な飛翔感とともにグルービーなソロを奏でます。



3曲目がFred Herschの作品で“A Lark” [dedicated to Kenny Wheeler]
Kenny Wheelerに捧げられた曲です。
ひばりの天に昇るかのようなテーマに乗って小島のり子(fl)のソロが美しい。
落合康介(b)のベースの美しいサウンド!



ハーモニーが印象的な天野 丘(g)のギターソロ!
4曲目が小島のり子(fl)のオリジナルで雪男ウォーキン
魚沼産の銘酒「雪男」にインスパイアされた作品だそうです。
雪男が道に迷った旅人を助けると言うユーモラスな作品です。
落合康介(b)のベースが雪男の歩く様を美事にユーモラスに描きます。
小島のり子(fl)はなめらかなフルートサウンドから徐々に強いアタックを取り混ぜて、表現豊かに雪男を描きます。
5曲目は、Denny Zeitlin作品の  Quiet Now
天野 丘(g)のギターのうっとりする美しいイントロ!
小島のり子(fl)のフルートのソロが深い叙情を歌い上げ、カデンツァで泣かせます!
第二セット
1曲目はパット・メセニー作曲 トラベルズ
芳しい大地の香りがする演奏でした。
ここで小島のり子(fl)が私はジャズクラシックが大好きですと言って始めます。



おなじみの名曲、Benny Golson作曲のStablemates
小島のり子(fl)は必ずライブでこういうジャズの名曲中の名曲を取り上げてきました。これが私にはいいんだなあ。
アタックと歯切れの良い力強いフルートソロストレートなジャズの王道ともいうべき演奏!
天野 丘(g)のうなるギターは美事なハードバップ解釈!
3曲目は、チャールズ・ミンガス作曲の直立猿人 Charles Mingus, "Pithecanthropus erectus",



落合康介(b)のベースが目を見張るような力強いソロから始まり、
あの有名なテーマを小島のり子(fl)はフルートの低い音から初めて凄絶に演奏します。
天野 丘(g)のギターのコードワークも印象的!
さらに激しく飛翔し展開する小島のり子(fl)のソロは圧巻のアタックを繰り広げエンディングへ。
4曲目は、小島のり子(fl)のオリジナルの盆踊りブルース。
日本三大盆踊りの一つ、西馬音内の盆踊りにインスパイアされた作品だそうです。
取っつきの良い、かっこいいテーマはもうジャズスタンダードと見間違うかのような曲です。
小島のり子(fl)のテーマの演奏につないで、落合康介(b)のベースが鋭くリズミックなソロを決めます。
天野 丘(g)のギターがコンテンポラリーなブルースソロを火花が出そうに繰り広げます。
小島のり子(fl)のヒートアップしたフルートのソロがいつの間にかお囃子に変わり、ベースは盆踊りを想起させ、あーこういう曲なのかと印象付けられました。



5曲目はセロニアス・モンク作曲のエビデンス
ご存知の通り、元の曲は、JUST YOU JUST MEです。これを縮めるとジャスティス、、、だからEVIDENNCE
小島のり子(fl)のフルートは、もうセロニアス・モンク作品ならではの躍動し飛翔し、歌い、吹きまくります。
天野 丘(g)のギターもピックを使わない指を駆使した多彩なハーモニーと印象的なソロラインを刻みます・
落合康介(b)のベースのソロの圧巻でした。
三者の4小節交換も目を見張るソロの応酬でした。
あっという間の2ステージでした。
聴衆のやんやの声に応えてアンコールは
My Romance
小島のり子(fl)の確信に満ちたフルートの美しいバラード解釈が印象的なすばらしいライブでした。
さっき、小島のり子(fl)の新作CD 「any time」聴きましたが、ライブの印象とはかなり変わって透明感と硬質なリリシズムに溢れた音楽が圧巻でした。



守谷美由貴(As)セッション @小岩COCHI

10月27日は小岩COCHIで、守谷美由貴(As)セッション
メンバーは、清水絵理子(P)鈴木央紹(Ts)原大力(Dr)
の演奏を聴いてきました。






守谷美由貴(As)のスピード感あふれ、歯切れよいアルトサウンド!
バップナンバーでの息を飲む展開のソロ!
バラードでの深い呼吸のアルトソロは素晴らしい!
鈴木央紹(Ts)の美しいテナーサウンドと圧倒的な歌心はいつも感心します。
守谷美由貴(As)のアルトとのめくるめくハーモニーと火を吹くような掛け合いも見事でした。
そしてバップナンバーでは、目も冴えるようなフレーズをこれでもかというぐらいに吹きまくります。
清水絵理子(P)の美しいピアノサウンド。
管楽器のバックでは、美しい和音から変幻自在のボイシングで曲の世界観を広げます。
ソロでは、飛翔し跳躍するピアノ!予想を超える展開の音楽が繰り広げられます。
原大力(Dr)の力感溢れる圧巻のドラミング!そして繊細で歌心溢れるブラッシュワークはソロイストを引き立てます。
あっという間の2ステージでしたが、素晴らしい顔合わせのセッションは最高でした。

2018年10月7日日曜日

高橋徹(ds)、岡崎正典(ts)千北祐輔(b)のトリオ@渋谷KOKO

平成30年10月6日、渋谷KOKOで
高橋徹(ds)、岡崎正典(ts)、千北祐輔(b)のトリオを聴いてきました。



リーダーの高橋徹(ds)のいつもながらセンスの良いドラミング。
時に激しく、時に繊細なスティックさばきには感心します。


岡崎正典(ts)のテナーサックスは、ますます円熟味を深めています。確信に満ちて、奇をてらわず、ストレートで力強く歌い上げる演奏は素晴らしい。


千北祐輔(b)のベースは、重厚なリズムを確実に決めています。ソロも太く強くベースならではの音色で味わい深いフレーズを紡ぎ出していました。


ファーストセットは
デューク・ピアソン作曲のJeannine 
歌心あふれる岡崎正典(ts)のテナー!
続いてコールポーター作曲のNight and Day
岡崎の深い味わいテナーに高橋徹(ds)の繊細なドラミング


ソニー・ロリンズ作曲のイーストブロードウェイランダウンかな?
ランダムなリズムの作品に千北祐輔(b)の確実なベースが光ります。


マッコイタイナーのインセプション
これは、渋い選曲で、マッコイの作品中でも最高の名曲の一つでしょう。
圧倒的な岡崎正典(ts)のソロワーク
高橋徹(ds)のこちらも圧巻のドラムソロ

セカンドセットは
ジョー・ヘンダーソンのRecordame (Remember Me) 
続いてソニー・ロリンズ作曲のParadox
岡崎正典(ts)のテナーと高橋徹(ds)のドラムの鬼気迫る掛け合いが圧巻でした。
シャンソンの名曲 バラ色の人生
岡崎正典(ts)は秘技を尽くしてじっくり歌い上げます。
セカンドセットの最後はソニー・ロリンズ作曲のThe Freedom Suite
公民権運動に捧げたロリンズの強い決意の表れの曲です。
この組曲の構造変化とめまぐるしく移り変わるリズムに高橋徹(ds)3岡崎正典(ts)千北祐輔(b)のトリオのメンバーはそれぞれが見事に確実なアプローチで応えます。
圧巻は岡崎のテナーのホットなソロ!!
高橋の息を呑むドラムソロ!!


聴衆の熱烈な拍手に応えてにアンコールはクルト・ワイル作曲のマックザナイフ
深々と歌い上げる歌う岡岡崎正典(ts)の素晴らしいテナー!!
とても楽しいライブでした。

2018年7月3日火曜日

小島のり子(fl)&清水絵里子(p)DUET @池袋P’S BAR

2018年7月2日小島のり子(fl)&清水絵里子(p)DUET @池袋P’S BARを聴いてきました。



1曲めは Isfahan デューク・エリントンのナンバー
清水絵里子(p)のクールなソロとピアノサウンドのきらめき!
小島のり子(fl)のしっとりしたエレガントなサウンドが印象的。



2曲目 サマーナイト 
清水絵里子(p)の独特のボイシングから生まれる深い響きのピアノ!
小島のり子(fl)のフルート 美しいラインと時折見せるアタックも凄い!

3曲目は Crazy he calls me
清水絵里子(p)の美しいピアノのイントロからテーマの提示を経て、展開部の意表を突くラインが美しい。
小島のり子(fl)の美しいバラード演奏とインスピレーションに溢れたフルートのサウンド!!
これにさりげなく反応するピアノがえもいわれぬサウンドを紡ぎ出します。

4曲目は In Walked Bud  Thelonious Monk 作品
いきなり小島のり子(fl)のめまぐるしく跳躍し強いアタックもまじえた強力なソロ展開に息を呑み、小島のり子(fl)のモンク解釈の世界の深さを見せます。

          



これに反応する清水絵里子(p)のピアノは強力にドライブしながらモンク世界を広げて見せます。




私のメモには、(モンク+パウエル)÷2=エリッチョのピアニズムと書いてあります。
圧巻のピアノソロは清水絵里子(p)のモンク解釈の独特さを痛感します。
4小節交換では鋭い両者の反応に息を呑みます。強いアタックや流れるようなパッセージ、驚くようなラインの応酬!!
ピアノとフルートという最小限の編成でこんなグルーブが表出する世界に呑み込まれるのは驚きです!!



セカンドステージは
5曲目は Retrato em Branco e Preto(白と黒のポートレート)
アントニオ・カルロス・ジョヴィン作
切ないイントロから美しいフルートのテーマを奏でます。
ピアノがこの曲特有の半音多用を特徴づけます。美しくはかない光を発するフルートソロは徐々にスケールが広がって清水絵里子(p)の美しいピアノソロとともに、どこまで広がるんだと言う感じで音世界が膨らみ、そこから美事に美しいテーマに戻り圧巻のクロージング!!



6曲目は Someone To Light Up My Life アントニオ・カルロス・ジョヴィン作
懐かしい響きのテーマ開示からはじまり、素朴な感じのフルートソロ、妙なるフレージングの美事さ!

7曲目は I’ll Be Seeing You
清水絵里子(p)のピアノの美しいイントロから、小島のり子(fl)のヴィンテージフルート特有の暖かいサウンド!!高音域のウッディな響きも見事に美しい。
ここでの4小節交換もお互いに鋭く反応して、広がる世界に唸ります。
清水絵里子(p)のソロは星のかけらを広げて宇宙にばらまくように、どこまでも世界が広がり、一体どこまで行ってしまうのだろうと思うと見事にテーマ提示部に戻ってきて圧倒的なエンディングを迎えます!!


8曲目はブルース・イン・ザ・スカイ 小島のり子(fl)のオリジナル作品です。
清水絵里子(p)のドライブ感溢れる左手のラインは、ちょっとアール・ハインズを思い起こさせるようなブルージーなサウンドが印象的です。
小島のり子(fl)の早いパッセージと、それに見事に反応する清水絵里子(p)のグルーヴ感あふれるソロの応酬!
こちらもドキドキするような鋭いソロ!!
9曲目は A Time For Love ジョニー・マンデル作の曲です。
エバンスの演奏で有名な美しいバラード。
小島のり子(fl)の柔らかい楽器の音色!!深い響きの低音から、決してメタリックな響きにならない美しい高音域まで使いこなす美しいソロ!!
そして清水絵里子(p)のシンプルなピアノサウンドから、見事に絶妙な美しいフレーズを繰り広げます。




ラストは  Alice In Wonderland
清水絵里子(p)の美しいピアノソロから、小島のり子(fl)の美しくめくるめく展開のソロが泣かせます。
これに対応する清水絵里子(p)のピアノの絶妙な間の沈黙をいかしたシンプルなラインから、徐々にハーモニーを広げていき、まるでピアニストが自らの響きを永続に紡ぎ出すようでした。
ここでも2人のソロのライン展開が想像を超える勢いで、どんどん広がっていって,
どこまで行ってしまうのだろうという瞬間に見事に提示テーマに戻って曲は圧巻のエンディング!!






聴衆の鳴り止まない拍手に応えて、アンコールはイパネマの娘
フルートソロから柔らかなリズム展開のピアノ!!
えっ,そうくるのとお互いに言っているようなサウンドコントロールは息を呑む展開!!
最後は見事にクールに決めて圧巻の2ステージを締めくくりました。




2018年4月22日日曜日

小島のり子(fl)&清水絵里子(p)のライブ@小岩COCHI

2018年4月21日、小岩COCHIで、小島のり子(fl)&清水絵里子(p)のライブを聴いてきました。



フルートの名手の小島のり子(fl)と素晴らしいピアニストの清水絵里子(p)のインストでの競演は初めてとのこと。
これは、聴かなければと思い駆けつけました。
もう一つの楽しみは、小島のり子(fl)が最近手にしたパウエル製のヴィンテージフルートを初めて聴けます。
それも、マイクなしで目の前で!!
まず、最初の曲は、
Have you met Miss Jones ?
美しいテーマ聴いただけで、暖かくソフトなサウンドがしみます。
小島のり子(fl)のソロがスムースに展開する中で、清水絵里子(p)は美しいバッキングを取るのですが、ソロの変化に美事に反応して、ため息をつくようなフレーズを入れていきます。
Greensleeves
清水絵里子(p)のサティー風にも聞こえるシンプルなピアノラインのイントロから
フルートのリリカルなソロに、、
清水絵里子(p)の遠くを眺めるようなピアノソロ
You Are Too Beautiful
小島のり子(fl)の美しいバラード演奏は徐々に高まり鋭い音色やアタックもまじえて展開し、
圧巻のカデンツァに。この楽器のウッディな音色が染みいるようです。
Bouncing With Bud
清水絵里子(p)のチョイスのBUD POWELLナンバー
アブストラクトな二人のサウンドから曲は開始し、
ふっと、おなじみのテーマが始まり、
小島のり子(fl)ならではのフルートによる圧巻のバップ演奏の素晴らしさ、
清水絵里子(p)の圧倒的なバビッシュな展開は美しく、時に予断をゆるさないようなサウンドがきらめきます。
二人の4小節交換も息を呑む展開で、そう来るかというサウンドの応酬が素晴らしい!!
Someone To Light Up My Life
アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲をしっとり歌い上げます。


2ステージ目は
白と黒の肖像  
この曲もアントニオ・カルロス・ジョビン
清水絵里子(p)の囁くようなピアノソロが美しい
小島のり子(fl)のリリシズムの本領が露わになる素晴らしいソロ
You Must Believe In Spring
ルグランの傑作ですが、清水絵里子(p)はライブで良く演奏してくれるので嬉しい。
清水絵里子(p)の静謐なイントロからワルツ風なリズムを刻んで、
小島のり子(fl)が美しいテーマを吹いて、ソロは飛翔し、めくるめく展開で圧倒されます。
清水絵里子(p)のソロは、これぞ清水絵里子(p)という硬質なリリシズムをたたえてたピアニズムに息を呑みます。
ここでの二人の4小節交換も美の応酬にうならされました!!
浦霞ーbules in the sky 小島のり子(fl)のオリジナル曲
グルーブするブルース曲で、小島のり子(fl)のストレートなジャズフルートサウンドが最高!!
清水絵里子(p)の意表を突く展開のピアノソロ!!彼女ならではのピアノの左右の鍵盤をフルに生かした縦横無尽なサウンド!!

The Sound of Silence
小島のり子(fl)によってリハーモナイズを施したアレンジです。
原曲を大きく発展させたタペストリーのようなコード進行
深いサウンドのフルートソロから、ついにはアブストラクトのような沈黙を歌い上げます。
清水絵里子(p)も深い呼吸のソロを開始、テーマを大きく発展・分解させたソロが繰り広げられます。
Joy Spring
クリフォード・ブラウンの名曲です。
難曲で有名ですが、美しいテーマ開示から、
小島のり子(fl)の圧巻のスケールのソロ!!
清水絵里子(p)のピアノはソウルフルなソロがめくるめく展開で大きく飛翔します。

聴衆のアンコールに応えて
There Will Never Be Another You
おなじみのテーマから、一挙に二人のグルーブ世界へ突入です。

初顔合わせとは思えなかった素晴らしいライブでした。
二人の美しい音楽が融合するだけで無く、息を呑むスリリングな応酬が最高でした。

2018年4月20日金曜日

竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブ@原宿JazzUnion

2018年4月19日(木)原宿のジャズ喫茶、JazzUnionで、竹内直(ts)&楠直孝(p)のライブを聴いてきました。


楠直孝(p)は既にJazzUnionに5回出演していて、JazzUnionのオーナーいわく、もうハウスピアニストですとのこと。
竹内直(ts)は、今回が初出演。
アットホームな雰囲気に、普段より多めなMCが嬉しい。
当夜の演奏ナンバーは、竹内直(ts)の最新作「BALLADS」からのナンバーが中心ですが、ジャズスタンダードからファンク作品、黒人霊歌まで幅広い曲目構成です。
You're My Everything (Harry Warren and Joseph Young作)
マイルス・デイビスやレッド・ガーランドの演奏でおなじみのリリカルなナンバーを楠直孝(p)の美しいイントロから始まり、竹内直(ts)のストレートなバラード演奏!!


You Must Believe In Spring(ミッシェル・ルグラン作)
何もいうこともない名曲です。
楠直孝(p)の囁くような美しいピアノのイントロから、濃厚な竹内直(ts)サウンドが一挙に繰り広げられます。
楠直孝(p)の思わずため息が出るような美しいソロも印象的です。


竹内直(ts)のライブでこの曲の演奏を初めて聴いたときには、私には、あまりにビル・エバンスの名演のイメージが強くて、テナーサックスでどう解釈するのかと疑問に思いましたが、静から爆発的な動へとじっくり歌い上げる圧巻の演奏に参りました。これは最新作「BALLADS」でも取り上げられています。必聴の演奏です!!
With A Song In My Heart (Richard Rodgers / Lorenz Hart作)
ストレートに明るいサウンドで曲は熱く展開し、どんどん集中したテナーは、圧倒的なノンブレス奏法で物凄い高みに到達し、聴衆は只,息を呑んで圧倒されるだけです。


ここで、竹内直(ts)がノンブレス奏法・循環奏法について、聴衆に解説してくれました。
口で息を吐きながら同時に鼻で吸うことで、切れ目のない演奏が可能になる。
何と、実際に演奏してくれて、ほほの動きを注目すると確かに、動いています!!
観客にアピールするには単音を延々と吹けば非常に分かりやすいのですが、竹内直(ts)はノンブレス奏法で美しい激情的なフレーズを繰り広げるのです。
ジャズではハリー・カーネイがバリトンで早くから初めたそうです。
何と、竹内直(ts)は現在のギネス世界記録を超えることも可能だそうです。
普段のライブでは、竹内直(ts)はこれ見よがしにノンブレス奏法を繰り出すことはありません。
激情的な、圧倒的なソロの最中に、あっと思うとノンブレス奏法が始まり音楽は凄さも感じる高みに到達します。

Lost in the Stars    (Kurt Weill)
スローなテンポで始まり、楠直孝(p)の圧巻のソロに続いて、竹内直(ts)のカデンツアのテナーソロは、ノンブレス奏法も使って凄絶なトーンに達します!!

Chariots     (ジョン・スコフィールド作)
ファンキーなナンバーで、楠直孝(p)の素晴らしいファンクピアノは、まるで燃えるアフリカンピアノのようでした。竹内直(ts)のテナーも熱くリズミカルなトーンを繰り広げます。

第2部は
カンツオーナ(作曲者分からず)
楠直孝(p)の透明なピアノサウンドに乗って竹内直(ts)はしっとりしたバラードプレイを繰り広げます。
I concentrate on you(コール・ポーター作)
竹内直(ts)サウンド全開のスタンダード解釈が美事です。

You Are So Beautiful (Billy Preston 作)
ジョー・コッカーのソウルフルな歌唱で有名な曲。
楠直孝(p)の美しいピアノ!
竹内直(ts)の地底から唸るような低音から、天にも届くような高音までテナーサウンドを刻みソウルフルなカデンツアに高まります。





淀川長治先生の出演した日曜洋画劇場のエンディングテーマ曲でおなじみという竹内直(ts)のMCで『So In Love』(コール・ポーター作)
楠直孝(p)の名手らしいドライブするラテンのリズムに乗って、竹内直(ts)は美しいテーマ演奏から泣けるソロを繰り広げます。

Blue Monk  (Thelonius Monk作)
ラストはおなじみのモンク作品。
楠直孝(p)の独特なモンク解釈は美事でした。
竹内直(ts)のリズミックなアプローチのテナーサウンドが素晴らしい。

アンコールは,
"Deep River" (Spiritual)
ゴスペルナンバーとして有名なDeep Riverを、楠直孝(p)の印象的なスピリチュアルなソロに始まり、竹内直(ts)の祈るかのようにじっくりと歌い上げる感動的な演奏で当夜のライブは幕となりました。